2023年5月31日水曜日

原発60年超法、31日成立へ 福島事故後に導入の制限を見直し

 参院経産委員会は30日、原発の60年超運転を可能にする「GX脱炭素電源法案」を賛成多数で可決し31日の参院本会議で可決、成立する見通しです

 29には国際環境NGOFoE JapanNPO法人・気候ネットワークなど市民団体国会内で共同会見を開き「原発推進等5法案には多くの問題点がある。審議がつくされたとはいえない」、「気候変動対策に全くならない」などと反対を表明しました。
 工学的根拠が不明のまま、岸田政権による原発の60年超延長という「最大限活用」が実施されることになります。
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原発60年超法、31日成立へ 福島事故後に導入の制限見直し
                            共同通信 2023/05/30
 参院経済産業委員会は30日、原発の60年超運転を可能にする「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」を賛成多数で可決した。31日の参院本会議で可決、成立する見通し。岸田政権は原発の「最大限活用」を掲げており、東京電力福島第1原発事故後に導入した運転期間の制限規定を見直し、原発の長期利用へ踏み出す。
 法案では「原則40年、最長60年」という大枠を維持しつつ、運転期間の規定を原子炉等規制法から電気事業法へ移管。経産相が認可すれば、原子力規制委員会の再稼働審査で停止した期間などを計算から除外し、60年を超す運転が可能となる。規制委は運転開始30年後から最長10年ごとに劣化を確かめる。
 岸田文雄首相は30日の経産委で、経年劣化による事故が起きないかを問われ「ゼロリスクにはならない。リスク低減の活動に規制委と事業者が継続的に取り組むことが重要だ」と述べた。


原発推進法案採決ノー 市民団体会見 審議つくされず
                       しんぶん赤旗 2023年5月30日
 参院での審議が最終盤となっている原発推進等5法案について国際環境NGO「FoE Japan」など市民団体は29日、「多くの問題点がある。審議がつくされたとはいえない」と、国会内で共同会見を開きました。
 同事務局長の満田夏花(かんな)氏は、同法案で60年を超える原発の運転が可能になるのに、老朽原発の審査手法の内容が具体的に示されていないことなどを挙げ、「徹底的に審議を尽くすべきだ」と強調しました。
 NPO法人・原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏は、参院経済産業委員会で可決されようとしていることに「強い憤りを持つ」と発言。法案は福島原発事故の教訓をないがしろにし、全く脱炭素に役立たないことに時間とコストを投じる無責任さがあると指摘しました。
 NPO法人・気候ネットワーク東京事務所長の桃井貴子氏は、気候変動対策を理由に岸田自公政権は原発を推進しようとしているが、「対策に全くならない」と強調。安全性が高くコストが安いなど未来の電源は再エネであり、法案は「政府全体として気候変動対策に前向きに取り組む気がないと表明したもの」と批判しました。

 同法案で福島での地方公聴会開催を求めていた福島大学名誉教授の今野順夫氏は、「事故がなかったかのように回帰の方向。通してはいけない法案だ」と述べました。
「Fridays For Future (未来のための金曜日)Japan」のメンバーは、脱炭素のために原発が必要だというストーリーによって「公正な社会の実現が遠のいている」として、法案に反対だと述べました。