2023年5月8日月曜日

地震で廃炉避けられぬ志賀原発(植草一秀氏)

 植草一秀氏は石川県珠洲市で5日、震度6強、マグニチュードは6・5の地震が発生したことについて京都大学の西村卓也教授が、これは20年からの群発地震のなかで最大規模のものであり、珠洲市の観測点では20年11月から23年4月までに7センチの隆起が確認されていて、20年12月ごろから能登半島の地下10数キロに「流体」(地下の深部から上昇してきた水)が溜まるという現象が観測され、その流体が周りの岩盤を押し広げたりして地盤や地面の隆起が発生していると説明していることを紹介しました。
 そして日本全国で最近起きた地震のうち「活断層で起こったものが約半分で、残り半分の地震は活断層と知られていない場所で発生」しているので、活断層の有無で大地震の可能性を予測することは無理であると述べました。
 また、能登半島では07年3月25日に輪島市でマグニチュード6・9、最大震度6強の地震が発生し、1892年12月9日と12日にも、志賀原発の至近距離にある地点を震源地とするマグニチュード6・3と6・4の地震が発生しているので、志賀原発が巨大地震に襲われる可能性は十分にあると見ています。
 そもそも問題の地下の「流体」は西村氏によれば、太平洋プレートが日本の近傍で海水を伴って沈み込んだものが能登半島で熱水となって上昇することで生成されているので半ば永遠に反復します。
 植草氏は少なくとも志賀原発について地下に活断層が存在するか否かで再稼働の可否を判断するのは的外れであって、志賀原発は再稼働させるべきではないと結論づけています。
 規制委にこのことを否定できる知見はない筈です。
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地震で廃炉避けられぬ志賀原発
                植草一秀の「知られざる真実」 2023年5月 6日
石川県珠洲市で震度6強の地震が発生した。
石川県珠洲市は2020年から群発地震に見舞われている。5月5日には午後2時42分に最大震度の地震が発生した。地震の規模を示すマグニチュードは6.5
一連の群発地震のなかで最大規模の地震が発生した。

京都大学の西村卓也教授がメディアで地震発生のメカニズムについて解説している。
西村教授は能登半島で「前例のないような地殻変動が起きている」と指摘する。
西村教授は、国土地理院が全国約1300ヵ所に設置したGPS定点観測データで地盤の動きをとらえ地震を予測する研究を行っている。
珠洲市の観測点では2020年11月から2023年4月までに7センチの隆起が確認されているとのこと。

地面の隆起は火山帯で多く見られるが、火山のない地域でこのような隆起が起こるのは25年間のGPSデータの中で前例がないとする。
2020年12月ごろから能登半島の地下10数キロに「流体」=地下の深部から上昇してきた水が溜まるという現象が観測され流体が周りの岩盤を押し広げたりして断層に浸透することで地盤や地面の隆起が発生しているとのこと。
現在も「流体」が溜まっており、周りの岩盤や断層に浸透しているため、活発な地震活動は続くと考えられるとのことだ。
西村教授は能登半島に活断層が多数存在し、そもそも地震がおこりやすい地域であると指摘する。

ただし、巨大地震が発生するのは確認されている活断層の地点だけではない。
活断層は過去に地震が起こったことを示す化石みたいなもの。地震が起こりやすい場所と言える。しかし、地下深部で発生する地震もあり、活断層以外のところでも地震が起こる可能性がある。
日本全国で活断層の調査は進んでおり、最近起こった地震のうち、活断層で起こったものが約半分ある。しかし、残りの半分の地震がノーマークの場所で発生したとの研究がある。
西村教授は活断層だけ調べておけば安心ということにはならないと指摘する。

実は石川県に原発が存在する。北陸電力志賀原発。
原発敷地内に活断層があれば原発の稼働は認められない。
2016年の有識者会合の評価書は志賀原発敷地内の一部の断層を活断層と解釈するのが「合理的」とした。ところが、この判断が覆された
原子力規制委員会が本年3月15日の定例会合で、志賀原発2号機直下を走る複数の断層が「活断層ではない」とする審査チーム結論を了承した。
稼働は困難と見られていた志賀原発の稼働が強行される恐れが生じている。

岸田内閣は原発全面推進の方針を明確にした。
2011年3月11日のフクシマ原発事故を踏まえて脱原発、原発廃止が論議されてきたが、岸田内閣は原発全面推進の方針を明確にした。
日本ではいまも原子力緊急事態宣言が発出されたまま。
一般公衆の被曝上限は年間1ミリシーベルトとすることが法律で定めているが、原子力緊急事態宣言を発出し、一般公衆に年間20ミリシーベルトの被曝を強要している。
被曝の累積線量が100ミリシーベルトに達すれば、がん死リスクが有意に上昇することが科学的知見として確立されている。
20ミリシーベルトの被曝が5年続けば累積線量は100ミリシーベルトに達する。

日本政府は国民の生命と健康に重大な悪影響を与える非人道的行政を実行している。
原発立地地点で地震による強い揺れが発生すればフクシマ事故が再現されるリスクは高い。
このような愚劣な行政が白昼堂々と展開されている。
能登半島に立地する志賀原発が巨大地震に見舞われるリスクを否定することはできない。
2007年3月25日には輪島市でマグニチュード6.9、最大震度6強の地震が発生している。
いまからわずか130年前の1892年12月9日と12日に、現在の志賀原発の至近距離にある地点を震源地とするマグニチュード6.3ならびに6.4の地震が発生している。
志賀原発が巨大地震に襲われる可能性は十分にある。
地震論議を原発論議に結びつけるべきことは当然。
志賀原発は廃炉以外に道がない。このことを確認することが必要である。

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