2023年11月15日水曜日

川内原発運転延長 薩摩川内市議会特別委が規制委を参考人招致へ

 川内原発の運転延長について審議している薩摩川内市議会の特別委員会が、九州電力に続いて規制委を参考人招致し、原発の耐用年数についての考えを問うことなど、規制委への質問内容8項目を決めました
 川内原発1、2号機運転期間20年延長は九電管内では初めての事例になります。そもそも20年の延長は例外のケースだった筈ですが、現実にはそれが普通のことになっています。しかしながらどんな根拠でそれが保証できるのか、規制委は納得できる説明を行う必要があります。
 西日本新聞の社説「川内原発延長へ 地元住民への説明尽くせ」を併せて紹介します。                       
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川内原発運転延長 薩摩川内市議会特別委が規制委に続き九電も参考人招致へ 鹿児島
                        MBC南日本放送 2023/11/13
川内原発の運転延長について審議している薩摩川内市議会の特別委員会が、九州電力を参考人招致することを決めました。
市議会の特別委員会では、川内原発の20年運転延長について、賛成・反対あわせて3件の陳情を審議しています。
1、2号機の運転延長が今月1日に原子力規制委員会に認可されたことを受け、九州電力を参考人招致することを13日決めました。
また、規制委を参考人招致することもすでに今月6日に決めていましたが、原発の耐用年数についての考えを問う質問など、規制委への質問内容8項目を13日決めました。
市議会には新たに反対陳情が3件出されていて、市は今月21日に臨時議会を開いて、すでに出されていた陳情とともに特別委で審議することにしています。


【社説】川内原発延長へ 地元住民への説明尽くせ
                       西日本新聞 2023/11/15
 機械が古くなれば安全性が低下するのは避けられない。巨大な機械プラントである原子力発電所も例外ではない
 原発を安全最優先で運転するのはもちろん、運転延長に不安を抱く住民の声に耳を傾け、丁寧に説明するのは事業者の責務である。九州電力には誠実な対応を求めたい。
 2024~25年に運転開始40年を迎える九電の川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)について、原子力規制委員会は運転期間を20年延長し、60年運転を認可した。1号機は44年7月まで、2号機は45年11月まで、それぞれ運転が可能になる。
 原発の60年運転認可は関西電力高浜1、2号機、美浜3号機(いずれも福井県)、日本原子力発電東海第2(茨城県)に続き5、6基目で、九州では初めてだ。
 東京電力福島第1原発事故の反省から、原発の運転期間は原則40年、最長60年と定められた。例外中の例外だった60年運転がどんどん増えているのは、福島原発事故の風化と無関係ではない
 60年を超えて原発運転を認める法律が5月に成立した。九電はさらなる運転延長にも前向きな姿勢を示す。
 燃料費が安い原発の活用は電力会社の経営にはプラスだが、核分裂のエネルギーを利用する原発は放射能漏れ事故のリスクから逃れられない。安全確保の取り組みに終わりがないことを九電は肝に銘じてほしい。
 原発の運転延長は、岸田文雄首相による原発積極活用への政策転換の一環である。さしたる議論もないままトップダウンで決めたため、脱原発を求める多くの国民の意識とねじれが生じている
 川内原発の地元でも延長に慎重な意見が根強い。
 鹿児島県は原子力安全・避難計画等防災専門委員会に科学的、技術的な検証を依頼した。委員会は運転期間延長の検証に関する分科会を設け、昨年1月から今年4月まで12回の会合を開いた。
 分科会は九電の特別点検結果を踏まえ運転延長を容認する報告をまとめたが、委員の一人は「延長ありきの議論だった」と指摘する。
 住民投票を求める動きもあった。市民団体が約4万6千人の署名を集め、運転延長の賛否を問う住民投票条例の制定を直接請求したのに対し、県議会は賛成少数で条例案を否決した。
 20年の知事選で「必要に応じて県民投票を実施する」と公約した塩田康一知事は、条例制定に否定的な姿勢に転じた。公約違反だと批判を浴びたのは当然だ。
 原子力政策は国策だから、国の判断で決めるべきだとの意見もある。しかし、事故が起きた際に被害を受けるのは原発の周囲に住む人たちだ。住民の意向は最大限尊重しなくてはならない。
 国や規制委も地元に足を運び、老朽原発の安全確保策について説明を尽くすべきだ。