肥育牛検査を縮小 福島県が方針、全頭から全戸に
河北新報 2019年12月24日
福島県は23日、東京電力福島第1原発事故後に続けている県産牛の放射性物質濃度の全頭検査で、2020年度から肥育牛については一部を除き、農家ごとに年1頭以上の全戸検査に縮小する方針を明らかにした。「不検出」が8年以上続くためで、福島市内で開かれた有識者らの検討会議で示した。国と今後詳細を詰め、年明けに正式決定する。
県内の肥育牛は県産牛全体の8割に当たる年1万5000頭が出荷される。全戸検査は約200戸の農家が対象となる。
県によると、全頭検査が始まった11年8月から今年11月までに検査した計17万2728頭で、国の基準値(12年10月から1キログラム当たり100ベクレル)を超えた事例はなかった。繁殖期を終えたおおむね8歳以上の老齢牛(年3000頭出荷)は下限に近いごく微量の検出例があり、全頭検査を続ける。
生産者団体や流通業者らが出席した会議は非公開で行われた。「丁寧に情報発信してほしい」などの慎重意見が出たが、目立った反対はなかったという。県畜産課の森口克彦課長は「消費者に十分安心してもらえるよう丁寧な検査と情報発信に努める」と話した。