2020年12月4日金曜日

福島・川俣に待望の診療所再開 「医業承継バンク」第1例

 福島県川俣町で183月に閉院した診療所が福島県と県医師会が取り組む「医業承継バンク」の仲介で新たな医師に譲渡され、1日に診療を再開しました。
 福島市で開業していた診療所を息子に任せることにして、新たに法人の理事長に就いた三宅弘章さんは「身近なかかりつけ医として地域医療に貢献したい」と抱負を述べました。そして、「個人での医業承継には限界がある。この制度が普及するといい」と「医業承継バンク」期待を示しました
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福島・川俣に待望の診療所再開 県「医業承継バンク」第1例
                         河北新報 2020年12月02日
 福島県川俣町で2018年3月に閉院した診療所が新たな医師に譲渡され、1日に診療を再開した。医療機関の譲渡と開業を希望する医師を仲介し、後継者不足から地域医療を守ろうと福島県と県医師会が取り組む「医業承継バンク」の第1例
 開院したのは医療法人白鷺会が運営する診療所「十二社内科外科」。同日あった開業式で、新たに法人の理事長に就いた医師三宅弘章さん(67)は「身近なかかりつけ医として地域医療に貢献したい」と抱負を述べた。
 診療所では前理事長の医師角田理恵子さん(71)が約25年間にわたり患者を診てきた。体力の限界を感じて600件近い紹介状を書き閉院し、後継者がいなかったことからバンクに譲渡希望医として登録した。
 一方、福島市で開業していた診療所を息子に任せることにした三宅さん。「体が動くうちは医師を続けたい」と開業希望医としてバンク登録した。
 開業式で角田さんは「個人での医業承継には限界がある。この制度が普及するといい」と期待した。
 バンクは県が県医師会に業務委託。19年2月、全国初の登録制の無料マッチングサイトを開設した。
 譲渡と開業の希望者がそれぞれバンク登録し、面談や見学といった一連の手続きを経て双方の希望が合致すれば契約成立。患者やスタッフを引き継ぐことで低コストで開業できるメリットがある。

 県医師会によると、第1例を含めこれまでに4件をマッチングし、2件が進行中。県内の診療所は東日本大震災と東京電力福島第1原発事故前の10年に1457施設あったのが、18年は1351施設に減った。