福島第1原発3号機の使用済み核燃料の取り出し作業が相次ぐ中断に見舞われています。
6日現在、燃料集合体をまとめて収容する容器を吊り上げるクレーンのモーター周辺の異常により取り出しが出来ない状態にあるほか、集合体の吊り手が事故時に変形したものや、がれきが集合体とラックの間に詰まって引き揚げられないものが6体あるなど、20年度内の取り出し完了は困難のようです。
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福島第1原発3号機の燃料回収また中断 機器異常や損傷トラブル続出 「20年度完了」に黄信号
河北新報 2020年12月07日
東京電力福島第1原発3号機の使用済み核燃料の取り出し作業が相次ぐ中断に見舞われている。6日現在も電気系統のトラブルで中断が続いており、作業再開は見通せない状況だ。東電が当初から目標とする「2020年度内の完了」に黄信号がともりつつある。
東電は11月18日、63回目の燃料取り出しに使用するクレーンが停止し、作業を中断したと発表した。燃料を装填(そうてん)する容器をプールから引き上げる途中、突然動かなくなった。
調査の結果、クレーンのモーター周辺の異常を確認。原因の特定には至らず、関係する周辺部位をそっくり交換することを決めた。取り出し再開のめどは立っておらず、20年度内の完了に影響する可能性があるという。
プール燃料の搬出は廃炉の主要工程の一つで、原発事故で炉心溶融を起こした1~3号機で特に難度が高い。先行する3号機では19年4月、計画より4年以上遅れてスタート。使用済みと未使用の燃料計566体のうち434体を回収したが、トラブルは尽きない。
20年9月には取り出し機器のケーブルが近くの部材に接触して損傷し、作業を1カ月余り中断。東電は後に「操作員の監視不足だった」と原因を分析した。
懸念材料は今後も残る。事故で持ち手が変形した16体と、ラックと燃料の間にがれきが引っ掛かった1体の存在だ。11体は現在行っている試験でつり上げることができたが、残る6体は動かせていない。
東電は圧縮空気でがれきを吹き飛ばしたり、干渉箇所を切削したりする装置を数種類設計・製造し、性能試験を経て取り出しに活用する。6体の状況はそれぞれ異なり、個別に装置が必要になるという。担当者は「順調に進めば、年度内に完了する見通しは変わらない」との見方を示す。
現行計画でプール燃料の搬出開始時期は2号機で24~26年度、1号機は27~28年度を予定。既に終えた4号機を含め、31年に1~6号機での搬出を完了させる。