2020年12月12日土曜日

飯舘長泥・試験栽培結果 「除染土再利用」でもセシウム低濃度

  環境省は帰還困難区域の飯舘村長泥地区で実施している、除染で出た土壌を使った野菜栽培の実証試験の結果

村内の除染で出た放射性セシウム濃度1キロ当たり5000ベクレル以下の土壌のみを使って栽培した作物の1キロ当たりの放射性セシウム濃度はインゲンが0・4ベクレル、キャベツが1・6ベクレル
 また
・比較のため、上記の土壌に別の土を約50cmを「覆土」して栽培したものの放射性セシウム濃度はインゲン0・3ベクレル、キャベツ0・8ベクレル
だったと発表しました。
「覆土をし栽培していく方針は変わらない」としています
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「除染土再利用」セシウム濃度は基準以下 飯舘長泥・試験栽培
                     福島民友ニュース 2020年12月11日
 環境省は10日、原発事故に伴う帰還困難区域の飯舘村長泥地区で実施している、除染で出た土壌を使った野菜栽培の実証試験の結果を公表した。村内の除染で出た放射性セシウム濃度1キロ当たり5000ベクレル以下の土壌(再生資材)のみを使って栽培した作物の1キロ当たりの放射性セシウム濃度はインゲンが0.4ベクレル、キャベツが1.6ベクレルとなり、国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を大幅に下回った。
 試験では、再生資材を盛り土にして農地をかさ上げし、その上に別の土を約50センチかぶせる「覆土」をして、野菜や花などを栽培。比較のため覆土しない場合も調べた。覆土した場合の1キロ当たりの放射性セシウム濃度はインゲン0.3ベクレル、キャベツ0.8ベクレルだった。
 同村で開かれた同地区環境再生事業運営協議会で結果を示した。同省の川又孝太郎環境再生事業担当参事官は「非常に低い値の濃度が検出された。安全性を考える上で、データを示すことができた」とした上で「覆土をし栽培していく方針は変わらない」とした。

 同協議会の万福裕造農研機構上級研究員は覆土の有無で放射性物質濃度に大きな差がなかったとして「再生資材中に含まれる粘土鉱物が放射性セシウムを固定して離さないため、植物に移行しなかったのが一因」との見解を示した。
来年度は水田実証試験計画 同省と村は来年度、再生資材を利用した水田の実証を計画している。野菜の栽培と同様に再生資材でかさ上げした上に約50センチ覆土し、長泥地区に水田約27アールを造成する予定で、水田が機能するかどうかを確かめるため作付けも行う。来春に水田を造成し、水張り試験などを経て、来年10月ごろにかけ調査、分析する予定。
 協議会には同省職員や同地区の住民、有識者ら約30人が参加。地元住民からは「(放射性セシウム濃度について)基準より低い値が出たことは一安心」「風評につながらないよう事業を進めていくことが大切だ」などの意見が出された。