東電福島原発事故を調べている日本原子力学会の事故調査委員会は、2日、最終報告書原案の概要を公表しました。
3日から青森県で開かれる大会でも報告し、会員からの意見を踏まえて年内にも最終報告書をまとめます。
この事故調は昨年6月に発足し、約50人の専門家が既存の公表データを中心に、事故や現場対応、事前の対策などについて調査したものです。
事故の直接原因は津波や過酷事故への事前の対策の不備によるものとし、すべての機能が電源があることが前提となっていたのが「根本的な過ち」で、津波や過酷事故への対策が適切に実施されていれば、事故は避け得たとしているということです。
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福島第1原発:事前の対策に不備 原子力学会が最終報告案
毎日新聞 2013年9月2日
東京電力福島第1原発事故を調べている日本原子力学会の事故調査委員会(委員長=田中知・東京大教授)は2日、「津波や過酷事故への対策が適切に実施されていれば事故は避け得た」などとする最終報告書原案の概要を東京都内で開いた会員向けの説明会で公表した。3日から青森県で開かれる大会でも報告し、会員からの意見を踏まえて年内にも最終報告書をまとめる。
学会事故調は昨年6月に発足。約50人の専門家が既存の公表データを中心に事故進展や現場対応、事前の備えなどを調査した。
原案では、事故の直接原因について、津波や過酷事故への事前の対策の不備を挙げた。機器などの設計で「すべての機能は電源があることが前提となっていた」ことを「根本的過ち」と指摘。最初に水素爆発を起こした1号機の非常用復水器(IC)が機能しなかった要因について「ICの機能への認識があいまいで、作動経験に乏しかったため」と結論付けた。
こうした事前の備えの不備の背景として、事業者や規制当局の安全意識の欠如に加え、「専門家が狭い専門に閉じこもり、システムとしての安全に見落としがあった」ことなどを挙げた。
一方、事故後の現場対応については「問題点は認められるが、極限状況での人間の対応には限界があり、総合的には標準以上」と評価した。【西川拓】