2013年9月24日火曜日

被災者支援法 基本方針案の意見公募が終了

 形ばかりと懸念される被災者支援法 基本方針案に対する意見公募が、23日に締め切られました。当初の締切日であった13日までに、既に千数百件の意見が集まっていたということです。理不尽にも政治区分の地域割りで対象外にされた住民をはじめとする被災者たちの怒りと心配の表れです。

 支援対象地域を福島県内に限定する基本方針案を示した復興庁に対し、対象から外れた千葉、茨城、栃木3県の少なくとも13の市が23日締め切られた意見公募パブリックコメントに批判の意見書を寄せました。これは勿論異例のことです

 支援法が制定されてから1年あまりがあったにもかかわらず、復興庁が発表した基本方針案は極めていい加減で驚くほど無内容なものでした。歴代の内閣が口を開けば福島の復興こそが喫緊の最優先の課題と言ってきたにもかかわらず、いざ蓋を開けてみればこの体たらくです。
 その意図は明白です。被災者の人たちに対しては極力予算を使いたくないということです。この間1兆円を超える額の官庁による目的外消費があり、ゼネコンに対してはこなしきれないほどの潤沢な予算配分をしておきながらです。

 以下に毎日新聞の記事を紹介します。
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被災者支援法自治体の批判意見 「切り捨て」住民切実
毎日新聞 2013年09月24日 
 復興庁が実施した「子ども・被災者生活支援法」の基本方針案を巡るパブリックコメント(意見公募手続き)には、当初の期限だった13日までだけでも千数百件の意見が集まり、その後も増え続けた。自治体にも多数の住民の声が寄せられ「支援法の対象に、という要望が特に強かった」(千葉県野田市)という。自治体による異例の意見応募の背景には「支援法から切り捨てられる」という対象外の住民の切実な焦りがある。【日野行介、袴田貴行】

 千葉県鎌ケ谷市の主婦(40)は23日、線量が年間1ミリシーベルトを上回る地域を支援法の対象に含めてほしいとの意見をメールで復興庁に出した。5年前に念願のマイホームを購入。市内の線量は年間1ミリシーベルトを上回り、国から「汚染状況重点調査地域」に指定されている。
 5歳の長女の健康に不安を抱き、支援法の対象になれば被ばくに対応した健康診断を受けられると期待した。市民集会などで同庁担当者に意見を伝えたが、先月30日に公表された案を見て「全く反映されていない」と肩を落とした。「なぜ支援対象に入らないのか疑問です」
 同庁が今月13日、急きょ東京都内で開いた基本方針案の説明会。千葉県松戸市の女性は「市は政府も認めたホットスポットだ。除染した地域が支援対象から外れる整合性を説明してほしい」と迫った。地方議員らが19日に都内で開いた同庁との交渉でも同様の声が相次いだ。
 こうした批判や疑問に、復興庁は「自主避難者の数や避難指示区域への近さなどさまざまな事情を総合的に判断した」と繰り返し、平行線をたどった。

 パブリックコメントで、自治体から異例の突き上げを受ける事態となった復興庁。批判の矛先は案の中身だけでなく、元幹部のツイッターによる暴言問題を機に浮かんだ秘密体質にまで及んでいる。
 復興庁は子ども・被災者生活支援法の基本方針案を検討するため、内閣府原子力被災者生活支援チームや環境省などと協議してきた。この関係省庁会議では議事録が作られていないことが判明。同庁は会議の存在すらこれまで明らかにせず、方針案がまとまった過程は今も闇の中にある。千葉県柏市などは「検討経過を明確にせよ」との意見を出した。

 公募のやり方にも疑問の声が上がる。実施の要領を定める行政手続法は意見を募る期間を原則30日以上と規定。ところが、復興庁は基本方針案公表の8月30日から9月13日まで15日間とし、「短すぎる」などとの批判を受けて同23日まで10日間延長した。同庁はこれまでの取材に対し、期間延長の理由を明らかにしていない。

 同県白井市は「支援施策の検討に当たっては被災者にとって透明性の高いものとするよう規定した支援法に基づき、広く被災者の意見を反映すべきだ」との見解を盛り込み、密室協議で支援法の内容を決めることがないようくぎを刺している。

◇復興庁幹部の暴言ツイッター問題
 復興庁で「子ども・被災者生活支援法」を担当していた参事官(当時)が昨年8月の着任以降、同法の推進を求める国会議員や市民団体などを中傷するツイートを繰り返していた問題。今年6月に毎日新聞の報道で発覚し、同庁は参事官を更迭した。