原子力規制委の専門家チームが、福島原発事故で避難している住民が地元に戻る際の被ばく限度を「1~20ミリシーベルトの範囲」と大幅に引き上げたうえに、被ばく量の把握もこれまでのように空間線量から推定するのではなく、住民が個々に身につける線量計で実際に測る方法にするという案をまとめたことに対して、当然のことながら避難住民や首長からは大いなる不満と不信感が表明されています。
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11月12日 「住民の被ばく量は線量計で実測すればよいと・・・」
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「管理できるのか」 被ばく計測、避難住民ら不信感
福島民友ニュース 2013年11月12日
東京電力福島第1原発事故による避難住民の帰還に向けた放射線対策で、原子力規制委員会の検討チームが11日に了承した提言案では、帰還の際に住民が携帯する個人線量計で被ばく線量を計測するとされ、避難住民は個人が線量を管理することに不信感を示した。一方、年間の追加被ばく線量の限度に1ミリシーベルトを用いず、あらためて1~20ミリシーベルトの範囲としたことに、避難住民や首長らは「あくまで1ミリシーベルト」と強く求めた。
「線量計によって数値が違う。高齢者は機械に不慣れな人もいる。多方面から管理し、安全、安心なものにしてほしい」。富岡町から郡山市の仮設住宅に避難する北崎一六さん(66)は線量計の携帯に不満を漏らした。双葉町から、いわき市に避難する会社役員中谷祥久さん(33)は「きちんとした管理が必要になる。それを手厚くできるのか疑問だ」と個人での被ばく管理を批判した。「被害に遭った自分たちが、なぜ自分たちで(被ばく管理を)やらなければならないのか。線量計をつけてまで生活したいとは思わない」。大熊町から避難し、会津若松市の仮設住宅で避難生活する山本秀一さん(51)も厳しい目を向けた。