福島原発4号機の燃料プールから核燃料を取り出す作業は、今月18日から始めるということです。作業中に、燃料プールに残る細かいがれきで燃料が抜けなくなるおそれがあるほか、万一、燃料が損傷したり、キャスク(燃料輸送用容器)が壊れたりした場合、強い放射線が出るおそれがあるため、慎重な作業が求められます。
核燃料が空中に露出した場合の放射線量(燃料表面ベース)は、新品燃料は2、3ミリシーベルト(時間当たり 以下同)なのでそれほどの危険性はありませんが、使用済みの核燃料の場合は桁外れに増えて、10万ベクレル~2万ベクレルにもなるということです。
したがってキャスクの吊り落としなどで破損させて封入水が抜けたりすると大変なことになります。
これに関するジャーナリスト・桐島瞬氏の記事(週刊朝日)も併せて紹介します。
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福島第一原発4号機 核燃料取り出し 18日開始
NHK NEWS WEB 2013年11月15日
東京電力は福島第一原子力発電所4号機の使用済み燃料プールから核燃料を取り出す作業を、今月18日から始めることを明らかにしました。
廃炉に向けた最初の節目と位置づけられ、事故の影響が残るなかでの作業を安全に進められるかが課題になります。
廃炉に向けた最初の節目と位置づけられ、事故の影響が残るなかでの作業を安全に進められるかが課題になります。
福島第一原発4号機の使用済み燃料プールには、強い放射線を出す使用済み燃料を含む最も多い1533体の燃料が保管され、東京電力は、4号機から取り出しを始めることにしています。
水素爆発で壊れた建屋上部を覆うカバーや燃料を取り出すクレーンなどの設置はすでに終わっていて、原子力規制委員会の事前の検査や外部の専門家による視察で問題がないと評価されたことから、東京電力は、今月18日から取り出し作業を始めることを明らかにしました。
作業は燃料プールに保管されている燃料をキャスクと呼ばれる輸送用の容器に水中で移したあと、キャスクを大型クレーンで地上に降ろし、およそ100メートル離れた共用プールという施設に運びます。
最大22体の燃料が入る2つのキャスクを使って、すべての取り出しを終えるのは来年末になる計画です。
今のところ、最初のキャスクに入れる22体は未使用の新しい燃料にして、次のキャスクから使用済み燃料を入れて取り出す計画です。
燃料プールからの燃料取り出しの開始は、廃炉の工程表で最初のステップである第1期の完了と位置づけられ、40年かかるとされる廃炉の最初の大きな節目です。
しかし、燃料プールに残る細かいがれきで燃料が抜けなくなるおそれがあるほか、万一、燃料が損傷したり、キャスクが壊れたりした場合、強い放射線が出るおそれがあるため、慎重な作業が求められます。
現場は今も通常より高い放射線量が測定され、トラブルなどの対応が長引けば、熟練の作業員の被ばく量が増えて作業に影響するおそれがあり、被ばくを抑えながら、安全に作業を進められるかが課題になります。
水素爆発で壊れた建屋上部を覆うカバーや燃料を取り出すクレーンなどの設置はすでに終わっていて、原子力規制委員会の事前の検査や外部の専門家による視察で問題がないと評価されたことから、東京電力は、今月18日から取り出し作業を始めることを明らかにしました。
作業は燃料プールに保管されている燃料をキャスクと呼ばれる輸送用の容器に水中で移したあと、キャスクを大型クレーンで地上に降ろし、およそ100メートル離れた共用プールという施設に運びます。
最大22体の燃料が入る2つのキャスクを使って、すべての取り出しを終えるのは来年末になる計画です。
今のところ、最初のキャスクに入れる22体は未使用の新しい燃料にして、次のキャスクから使用済み燃料を入れて取り出す計画です。
燃料プールからの燃料取り出しの開始は、廃炉の工程表で最初のステップである第1期の完了と位置づけられ、40年かかるとされる廃炉の最初の大きな節目です。
しかし、燃料プールに残る細かいがれきで燃料が抜けなくなるおそれがあるほか、万一、燃料が損傷したり、キャスクが壊れたりした場合、強い放射線が出るおそれがあるため、慎重な作業が求められます。
現場は今も通常より高い放射線量が測定され、トラブルなどの対応が長引けば、熟練の作業員の被ばく量が増えて作業に影響するおそれがあり、被ばくを抑えながら、安全に作業を進められるかが課題になります。
いよいよ4号機核燃料の搬出開始
東電が隠す放射能拡散、これだけのリスク
ジャーナリスト・桐島瞬 2013年11月14日
※週刊朝日 2013年11月22日号
東日本大震災から2年8ヶ月。いよいよ福島第一原発4号機からの核燃料搬出作業を開始する。ジャーナリストの桐島瞬氏が取材した。
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福島第一原発4号機からの燃料棒取り出し作業が、早ければ今週にも始まる。廃炉に向け、避けて通ることのできない重要なステップだが、一歩間違えば収束どころか、“殺人兵器”と化した放射性物質が拡散する危険性さえある。とりわけ危険なのは使用済み燃料が持つ「超高線量」だ。
原子力規制委員会は10月末、東京電力から申請のあった4号機からの燃料取り出しを認めた。
その理由として挙げたのが「使用済み燃料の健全性は確認できないが、燃料は十分に冷却されており、破損が生じても周辺公衆への被曝線量が十分小さい」というもの。
この規制委の判断に、元東電原子力技術者の小野俊一氏は異議を唱える。
「東電時代、原子力技術課の人間から教えてもらったのは、『使用済み燃料が空中にあれば、近くにいる人は全員即死する』でした。そもそも、冷えたからといって放射能がすぐになくなるものではありません。規制委の田中俊一氏は実態を知らず、昨年試験的に取り出した新燃料の2、3ミリシーベルト程度という数値が、使用済み燃料にも当てはまると思っているのではないでしょうか」
それでは一体、使用済み燃料からはどの程度の放射線が放たれているのだろうか。福島第一原発の4号機を造った日立製作所がまとめた資料によると、使用済み燃料の表面から放出されるガンマ線はおよそ毎時2万シーベルト。
経産省などが所管する原子力安全研究協会の作成した資料を見ると、表面線量は毎時10万シーベルトに及ぶ。東電にも確認したところ、「あくまでも目安」と控えめな数字を回答してきたが、それでも毎時1千シーベルトだった。それぞれバラつきがあるのは、冷却期間によっても線量が変わるからだ。
人は7シーベルトの急性全身被曝でほぼ100%死亡する。遮蔽されていない使用済み燃料は、人間を即死に至らせる「殺人兵器」と同等なのである。
小野氏が続ける。
「燃料プール内の燃料はすでに数年冷却されていることを差し引いたとしても、まだ数千から数万のオーダーで放射線を出していることは間違いありません。広島の爆心地が103シーベルトだったので、その100倍に匹敵する威力を持つものが使用済み燃料。そんな恐ろしいものを壊れた4号機からだけでも1331体(新燃料は202体)、取り出さなければならないのです」