2013年11月1日金曜日

首相は汚染水問題解決の責任を果たしていない

 福島原発の汚染水問題をめぐって安倍首相が「責任を完全に果たす」と発言したことに対して、福島民報が8日から19日にかけて福島県内の59市町村長にアンケートを取りました。

 「責任を果たしているについては、「責任を果たしていない」が59%(35人)「分からない」が29%(17人)で、「責任を果たしている」は僅か5%(3人)にとどまりました。当然の結果です。
 「国の今後の対応に期待できるか」との質問については、「分からない」が39%(23人)、「期待できない」と「その他」が合わせて22(13人で、「期待できる」39%(23人)とやはり半数に届きませんでした。
 
 
 福島県の首長たちは、目下の最重要事項である汚染水問題に関する安倍首相の誠実さを、殆ど評価していません。
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「果たしてない」6割 県内59市町村長アンケート
  首相の「責任果たす」発言
福島民報 2013年10月31日
 東京電力福島第一原発の汚染水問題をめぐり、安倍晋三首相が五輪招致で「責任を完全に果たす」と発言してから一カ月余が過ぎたことを受け、福島民報社は県内全59市町村長に、現状に対する見解などをアンケートした。発言後の対応について「責任を果たしていない」と回答したのは35人で6割を占めた。「責任を果たしている」は3人にとどまった。発言後も汚染水漏れや作業ミスなどが相次ぎ、「東電に任せきり」「国の姿が見えない」などの声が目立った。ただ、今後の国の対応に対しては23人が「期待できる」と答えた。

 アンケートは8日から19日にかけて実施した。「安倍首相の『責任を完全に果たす』との発言をどのように受け止めるか」の質問に対する回答は【表上】の通り。「責任を果たしていない」が35人(59%)で最も多かった。「分からない」が17人(29%)、その他4人(7%)、「責任を果たしている」が3人(5%)だった。

 責任を果たしていないと回答した浪江町の馬場有町長は、安倍首相の発言以降も東電福島第一原発で、港湾外の海水から放射性物質が検出されたことを踏まえ、「東電任せで国の責任、リーダーシップが具体的に見えない」と国の姿勢を批判。飯舘村の菅野典雄村長は「予算措置だけではなく、現場に常駐し万全を図るべき」と国による人的支援の必要性を指摘した。 
 果たしているとした古殿町の岡部光徳町長は「政府主導で汚染水対策を始めた」ことを理由に挙げた。 
 「分からない」と回答した相馬市の立谷秀清市長らは「情報不足により判断できない」とし、国による詳細な情報提供を求めた。

 「国の今後の対応に期待できるか」との質問に対する回答は【表下】の通り。「期待できる」と「分からない」が同数の23人(39%)、「その他」が7人(12%)、「期待できない」が6人(10%)だった。 
 期待できると回答した北塩原村の小椋敏一村長は、平成32年の東京五輪開催が決まり、同原発に対する国際的関心が高まっていることを背景に「海外から懸念されないように対策を講じると思う」とした。大玉村の押山利一村長は「期待できるできないではなく、やってもらわないといけない」と国が積極的に問題解決に取り組むよう求めた。 
 期待できないと回答した大熊町の渡辺利綱町長は「(汚染水対策の)組織だけ大きく複雑化されたが、同じ大臣らが兼務しているだけ」とし、実効性のある対応を求めた。只見町の目黒吉久町長は、東電の社員の心身疲労を課題に挙げた上で「国が先頭に立ち、内外の英知とマンパワーを結集して対応すべき」と提言した。 
 安倍首相は9月7日、国際オリンピック委員会総会での東京五輪誘致のプレゼンテーションと質疑応答で「(福島第一原発について)状況はコントロールされている。全く問題ない。(福島の子どもたちや選手に対し)責任を完全に果たす」などと発言した。