<原発・福島のいま> 久之浜魚市場9月再開 試験操業漁獲拡大へ方針
魚市場が再開されるいわき市久之浜支所の施設
河北新報 2019年06月26日
いわき市漁協は25日、市内の久之浜支所で9月に魚市場を再開する方針を明らかにした。東京電力福島第1原発事故後、試験操業が続いている沿岸の魚介類は市内の沼之内支所魚市場に集約し、販売してきた。体制を強化し、漁獲量拡大につなげる。
市内であった総代会の終了後、江川章組合長が取材に応じた。以前の魚市場施設は東日本大震災の津波で被災し、一部解体した。残った荷さばき施設を利用し、入札を再開する。
総代会では、魚市場で使う海水のくみ上げ設備を来年度に整備する事業が議決された。当面は簡易型ポンプ設備で対応する。まずは週4日程度開場する予定。
震災前、久之浜の魚市場は市漁協の水揚げ量の半数を占めていた。久之浜の漁船約30隻は現在、地元で水揚げした後、施設被害が少なかったことから集約先となった沼之内の魚市場に陸送している。試験操業の漁獲量が徐々に増え、沼之内は手狭になりつつあった。
江川組合長は「漁獲増を進めるに当たって、沼之内だけでは足りない。久之浜は陸送がなくなり、水揚げしやすくなる。仲買人も市場を選べるようになる」と話した。
沿岸の魚介類を扱う市内の市場は小名浜機船底曳網(そこびきあみ)漁協が運営する小名浜魚市場と、コウナゴとシラスに特化した市漁協勿来支所と合わせて4カ所になる。