福島原発事故直後の2011年3月24日、同原発3号機タービン建屋で電源ケーブル設置作業に参加した男性が被爆量積算20ミリシーベルトを超えて警告音が鳴った後も作業が続けられたことについて損害賠償責を求めた訴訟で、福島地裁いわき支部は26日、東電に33万円の支払いを命じました。
判決は、健康被害への不安や恐怖を覚えたと認定し「相当程度の精神的苦痛を受けた」としましたが、被爆量は約16ミリシーベルトとし「健康に影響する被爆をした」との主張は退けました。
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<福島第1原発事故>「原発作業で苦痛」東電に33万円賠償命令
河北新報 2019年06月27日
東京電力福島第1原発事故直後、高濃度汚染水がある現場で無用の被ばくをさせられたとして、元作業員の男性(53)が東電などに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁いわき支部は26日、東電に33万円の支払いを命じた。
名島亨卓裁判長は、男性は待避しなければならない状況だったのに作業を余儀なくされ、健康被害への不安や恐怖を覚えたと認定。「相当程度の精神的苦痛を受けた」と指摘した。
男性側は民法上の損害賠償責任を主張したが、判決は原子力損害賠償法を適用し、元請け会社や1次下請け会社への請求は棄却。男性の被ばく量は約1時間半の作業で約16ミリシーベルトとし「健康に影響する被ばくをした」との主張は退けた。
判決などによると、男性は2次下請け会社の作業員として2011年3月24日、同原発3号機タービン建屋で電源ケーブル設置作業に参加。元請け会社従業員らの線量計が積算20ミリシーベルトを超えて警告音が鳴った後も作業が続き、建屋にとどまらざるを得なかった。
判決について、男性の弁護団は「原発労働者の権利が認められた」と説明。東電は「内容を精査し、真摯(しんし)に対応する」とコメントした。