ヤフオク、メルカリなどで放射性セシウム基準値超えの山菜出回る
東京新聞 2020年6月1日
東京電力福島第一原発事故後の食品基準(一キロ当たり一〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムを含む山菜コシアブラが、直売所やインターネットで売られていたことが、食品の汚染状況を調べている木村真三・独協医科大准教授(放射線衛生学)と福島市のNPO法人「ふくしま30年プロジェクト」への取材で分かった。事故から九年過ぎても警戒が必要であることを示した。
木村氏は四月下旬以降、福島県会津地方や山形、宮城、岩手各県の直売所や道の駅で、コシアブラやコゴミ、ワラビ、原木シイタケなどを購入し、ゲルマニウム半導体検出器で八時間測定した。測り終えた三十五件のうち、仙台市内の直売所で購入した「秋田県産」表示のコシアブラから、基準値の二倍を超える一キロ当たり二一〇ベクレルを検出した。
また、宮城県産のワラビが三二ベクレル、コゴミが三四ベクレル、山形県産の原木シイタケが四二ベクレルなど十四件で基準値以下のセシウムを検出した。他二十件は不検出。
ふくしま30年プロジェクトも同時期に、ネットの個人売買サイト「メルカリ」と「ヤフオク!」で購入したコシアブラを測定。十五件のうち、表示が山形県産の三件と宮城県産の一件で、基準値を超える一〇九〜一六三ベクレルを検出した。
コシアブラは山菜の中でもセシウムに汚染されやすい。出荷は福島県内のほとんどの市町村と宮城県の七市町で規制。山形県は北部の最上町だけで、秋田県では規制されていない。産地表示が正しければ、規制されていない地域のコシアブラが基準値を超えて汚染されていたことになる。
基準値超えのコシアブラが売られていた仙台市生活衛生課の佐藤晴彦係長は「売っていた事業所や出荷量などを調査中。採取地を特定できていない。店頭で売る食品は、年二百件前後を検査している」と話した。林野庁の佐藤睦(まこと)・特用林産物安全推進指導官は「自治体が事実関係を調査中。結果により対応を考えたい」と答えた。 (大野孝志)