去年台風で全壊した茨城県にある原子力関連施設は、筋交いの木材の表面が金属で覆われていたため腐食が把握できなかったためで、今後はハンマーによる打音検査を導入するなど、点検方法を見直すことにし、原子力規制委はこの再発防止策を妥当と判断しました。
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原子力関連施設が台風で全壊 再発防止策 規制委 妥当と判断
NHK NEWS WEB 2020年6月4日
去年、腐食などが原因で、台風で全壊した、茨城県にある原子力関連施設について、事業者の日本原子力研究開発機構は、ハンマーによる打音検査の導入など、点検方法を見直すことにしていて、原子力規制委員会はこの再発防止策を妥当と判断しました。
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の大洗研究所では、去年9月の台風15号で、研究用原子炉を冷却する高さおよそ17メートルの建物が全壊し、建物を支える木製の筋交いが腐食していたことなどが原因だったことがわかっています。
これについて、原子力規制委員会は3日の会合で、原子力機構がまとめた再発防止案について審議しました。
原子力機構は、筋交いの木材の表面が金属で覆われていたため、腐食が把握できなかったとして、似たような部材に対しては、ハンマーでたたいて音で腐食を確認する検査の導入など、一部点検方法を見直すとしています。
これに対して規制委員会は、チェック方法としては適切だなどとして、原子力機構の再発防止策を妥当としました。
原子力機構は、戦後、日本の原子力開発の基礎研究などを担ってきた国の研究機関で、これまでの調査で全国で合わせて89の施設の老朽化が明らかになり、対策が課題となっています。
老朽化した原子力施設 規制委だけの対応に限界も
老朽化した原子力施設の対応について、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「運転や研究への動機づけは簡単だが、施設を早く片づけようという動機づけは難しく、規制だけの対応では難しい」と述べ、規制委員会だけの対応では限界があるとの認識を示しました。