2020年6月26日金曜日

東電に賠償命令 国への請求は棄却 避難者九州訴訟判決

 福島原発事故に伴い福島県などから九州に避難した18世帯53人が、国と東電に慰謝料など計約29700万円の賠償を求めた訴訟で、福岡地裁は24日、福島県から避難した724人に計約490万円を支払うよう東電に命じました。福島県以外の原告の請求は棄却しまし
 津波については、「切迫した危険性を認識することは困難で、被害の予見可能性の程度は低かった」などとして、への請求は棄却しました。
 原告側は控訴する方針です
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原発避難者九州訴訟 東電に賠償命令、国への請求は棄却 福岡地裁判決
毎日新聞 2020年6月24日
 東京電力福島第1原発事故(2011年3月)に伴い福島県など7都県から九州に避難した18世帯53人が、国と東電に慰謝料など計約2億9700万円の賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(徳地淳裁判長)は24日、7世帯24人に計約490万円を支払うよう東電に命じた。国への請求は棄却した。原告側は控訴する方針

 全国で約30件起こされている同種訴訟で16件目の地裁判決。いずれも東電に賠償を命じている。うち12件で問うた国の責任を認めなかったのは5件目。
 国が地震による津波を予見し事故を防げなかった過失の有無などが争点だった。判決は、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表した「長期評価」によって同年末には津波の予見性があったと認めつつ「信頼性が高いものとは評価されていなかった」と指摘。津波について「切迫した危険性を認識することは困難で、被害の予見可能性の程度は低かった」などと国の責任を否定した。

 原告はいずれも国の避難指示基準(年間被ばく線量20ミリシーベルト)の区域外から避難した。福島県いわき市などの自主避難区域にいた原告については「放射線被ばくへの不安を抱くことは十分理解できる」とし、1人当たり3万3000〜95万7000円の賠償を東電に命じ、同県以外の原告の請求は棄却した
 いわき市から家族5人で避難した原告団長の金本友孝さん(59)=佐賀県鳥栖市=は「これだけ多くの人に被害を与えておきながら、国には責任がない。それが許されていいのか」と憤った。東電は「今後判決内容を精査し対応を検討してまいります」、原子力規制庁は「原発事故を踏まえて策定された新規制基準への適合性審査を厳格に進めていくことにより、適切な規制をしていく」とコメントした。【宗岡敬介】