2020年6月9日火曜日

09- 国際教育研究拠点、立地候補は避難地域とする 検討会最終報告

 福島第1原発事故を受け、福島県浜通りに整備を検討する国際教育研究拠点について、有識者検討会は8日の会合で、教育研究拠点の立地地域に関し「原発事故で避難指示が出ていた地域を基本として決定すべきだ」と踏み込み、避難地域がある12市町村を候補に挙げ政府は立地地域を選んだ上で年内をめどに整備方針を決めるとする最終報告をまとめました。
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国際教育研究拠点、立地候補は避難地域 有識者検討会最終報告
福島民友 2020/6/9
 東京電力福島第1原発事故を受け、政府が浜通りに整備を検討する国際教育研究拠点について、復興庁の有識者検討会は8日の会合で最終報告をまとめ、政府に提出した。今後の焦点となる拠点の立地地域に関し「原発事故で避難指示が出ていた地域を基本として決定すべきだ」と踏み込み、避難地域がある12市町村を候補に挙げた。政府は立地地域を選んだ上で、年内をめどに整備方針を決める
 国立研究開発法人が運営する国立の研究所をつくり、2023年春の一部開所、24年度の全面開所を目指すべきだとした。
 検討会が重視したのは、浜通りに新産業の集積を図る福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想と、人口減の克服を目指す地方創生の実現という二つの視点だ。

 拠点を産学官連携の中核と位置付け、研究テーマを進行中のイノベ構想の重点分野と連動させた。「特定の分野で世界一のシェアを持つ新産業の創出や国際標準化をリードする研究を目指す」と掲げ、原発事故の影響で人口が減った浜通りの特性を生かせるよう政府に岩盤規制改革を促した。
 若者の雇用確保や定住人口の拡大に向け、地元産業界との協力やベンチャー企業の創業を後押しするため地域密着型の研究所を提唱した。人材育成では、参画に意欲を示す福島大、東北大、筑波大、お茶の水女子大などとの連携の重要性を指摘。大学院生への教育に力を入れる一方、地元の小、中学生、高校生から高専生まで幅広い年代の人材育成にも取り組むべきだとした。
 会合は15回目。一部を除き非公開で、復興庁や県庁などを結んだテレビ会議形式で開かれた。坂根正弘座長(コマツ顧問)は「前例にとらわれない大胆な発想で、浜通りの特色を生かした新たな価値を創造する拠点を早期に整備するよう求める」と述べ、田中和徳復興相に報告書を手渡した。

 被災地の要望が強かった大学や大学院の開設が見送られた経緯から、田中氏は「将来的に大学などの設置に結び付くよう多数の大学と連携し、人材育成を行う拠点としたい」とした。
 県庁から参加した内堀雅雄知事は「県も国や市町村、関係機関と連携し、周辺環境の整備や産業集積に積極的に取り組む」と強調した。