2020年6月23日火曜日

23- 産廃処分場問題 日立で住民説明会 懸念の声相次ぐ 

 新しい産業廃棄物最終処分場の候補地が日立市諏訪町採石場跡地に決まったことを受け、茨城県は21日、市内の上諏訪地区大平田地区2カ所で初めての住民説明会を開き、住民側からは、環境影響や交通渋滞の問題点などが挙げられ放射能汚染された廃棄物が搬入されることへの不安も出されました。
 県は23年度に着工し、25年度の供用開始を目指しています
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産廃処分場問題 懸念の声相次ぐ 日立で住民説明会 
東京新聞 2020年6月22日
 日立市諏訪町の採石場跡地が新しい産業廃棄物最終処分場の整備候補地に決まったことを受け、(茨城)県は二十一日、候補地に近い市内の二カ所で、初めての住民説明会を開いた。住民側からは、環境影響や交通渋滞の問題点などが挙げられ「対策をしてもらえないと、賛成はできない」と反対する意見が相次いだ。放射能汚染された廃棄物が搬入されることへの不安もあった。(松村真一郎) 

 県は五月二十六日に、候補地の決定を発表して以降、市内の学区別の自治組織の代表などに対して、決定の経緯や理由を説明してきた。住民向け説明会は、この日が初めてで、諏訪町内の上諏訪地区と大平田地区で開いた。 
 県側は、池田正明・廃棄物対策課長や清水洋人・新最終処分場整備室長、現在稼働している笠間市の最終処分場「エコフロンティアかさま」の関係者らが出席した。 

 上諏訪地区の説明会には、住民十人が参加。冒頭に、池田課長が「健全な経済活動を進めるためには、なくてはならない施設。ご理解をいただきながら、事業を進めていきたい」とあいさつした。
 質疑応答では、住民から選定方法や交通渋滞、環境への影響を懸念する声が続いた。ある住民は「騒音と交通安全の対策をしてもらわないと賛成はできない」と強調。これに対し県側は、エコフロンティアでは通勤や通学の時間帯は搬入を避けていると回答した。 
 東京電力福島第一原発事故により、放射性物質に汚染された廃棄物の搬入の可能性についても質問があり、県はエコフロンティアで国の基準を大幅に下回った廃棄物を受け入れたことがあるとした。その上で「地元の理解がなければ受け入れはしない」と説明。住民からは「絶対に反対なので、搬入の対象から除外してほしい」と要望があった。 

 候補地に最も近い大平田地区での説明会には、住民三十人が参加した。ここでも住民から、放射性物質に汚染された廃棄物の受け入れの可能性や交通面のほか、遮水対策について懸念が示された。 
 「住民が知らない中で決定したのが残念」「最終処分場整備の決定が前提の議論になっているが、必要性をもっと掘り下げて説明してもらわないと納得できない」という意見もあった。 
 大平田自治会の内田勉会長(74)は「交通面や有害物質など不安が大きいので、今は反対。いろんなことを考えて、自治会で話し合っていきたい」と話した。 
 池田課長は「住民の心配や意見を踏まえ、できる限りの対策をしていきたい」と語った。説明会は今後も諏訪町内で開き、最終的には市全域に拡大していく。 
 県は二〇二三年度に着工し、二五年度の供用開始を目指している。