2020年6月28日日曜日

福島県 復興事業費1・1兆円 県試算 国に要望

 福島県は、原発事故の復興・創生期間後の21年度から25年度までの5年間に県内で必要になる復興事業費は、11千億円程度と見込み、国に十分な予算確保を継続的に求めることとしました。
 復興庁の担当者は福島民報社の取材に対し、「被災自治体からの要望などを踏まえ、関係省庁と調整を進める」と述べました。
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復興事業費11兆円 福島県試算、国に要望
福島民報 2020/06/27
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の復興・創生期間後の二〇二一(令和三)年度から二〇二五年度までの五年間に県内で必要になる復興事業費は、一兆一千億円程度となる。県が二十六日、試算を示した。政府の新たな復興基本方針では福島県、岩手、宮城三県を含む被災地全体における五年間の復興事業規模を「一兆円台半ば」としている。県は原発事故からの復興という福島県特有の中長期的な課題を踏まえ、震災から十年が過ぎた後も大幅な財源が必要と判断し、国に十分な予算確保を継続的に求める

 二十六日の六月定例県議会代表質問で内堀雅雄知事が自民党の西山尚利議員(福島市)の質問に明らかにした。 
 試算に含まれる主な事業は【表(1)】の通り。県は各市町村からの聞き取りなどを基に、事業費の概算を積み上げた。事業費の内訳や詳細について、復興庁と交渉を進めている。 
 被災地での心のケアや地域コミュニティーの再生に取り組んできた被災者支援、インフラ復旧など避難区域の復興を盛り込んだ。 
 県内全域に及ぶ観光業や農林水産業への影響を考慮し、風評払拭(ふっしょく)、風化防止対策も重要だとして組み込んだ。 
 ロボット研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド(南相馬市・浪江町)」の開所などの福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想も含めた。 

■中長期の予算も求める
 県は一兆一千億円程度の事業とは別に、新たな課題に対応する中長期的な予算の確保を国に求めていく。 
 今後必要になる事業は【表(2)】の通り。避難指示解除の時期が明示されていない帰還困難区域の対応や国際教育研究拠点の構築、改正福島復興再生特措法に基づく移住・定住の促進は現段階で算定が難しく、さらに事業費が膨らむとしている。 

 復興庁は二〇二一年度から五年間の復興事業費の事業規模と財源の枠組みの詳細を、夏ごろに示す予定。復興庁の担当者は福島民報社の取材に対し、「被災自治体からの要望などを踏まえ、関係省庁と調整を進める」としている。 
 内堀知事は答弁で「復興・創生期間後も安心感を持って復興に専念できるよう、中長期的な視点からの財源の確保が不可欠だ」との認識を示し、「国が最後まで前面に立って福島の復興に責任を果たすようしっかり求めていく」と強調した。 
 政府は震災から十年間の事業財源として三十二兆円を確保し、二〇一一(平成二十三)年度から二〇一八年度までに二十八兆七千億円の使途が固まっている。