しんぶん赤旗に「汚染水放出のしくみ」についての記事が載りました。
これによるとトリチウムに関する諸量は、
トリチウム濃度:数十万~数百万ベクレル/ℓ(平均62万ベクレル/ℓ)
告示濃度限度:6万ベクレル/1ℓ、 希釈後トリチウム濃度:1500ベクレル/ℓ、
アルプス処理水総量:約134万トン、 トリチウム総量:約780兆ベクレル
放出管理濃度:22兆ベクレル(トリチウム)
などです。(アルプス処理水の発生量は90トン日)
これにより放出に要する期間は 780÷22=35・5年 となります。実際には限度ギリギリで放流することは不可能なので40年程度になると思われます。
他方、この間に新に貯留されるアルプス処理水量は、
90トン/日×365日/年×40年=131万4000トンとなり、貯留量は全く減らないという計算になります。国は一体何を考えているのでしょうか。
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汚染水放出のしくみ
約1000基のタンク3分の2は再処理必要 2051年の「廃炉」完了まで放出?
しんぶん赤旗 2023年8月23日
東京電力福島第1原発では、炉心溶融事故を起こした1~3号機の原子炉建屋に地下水や雨水が流入し、放射能汚染水が1日90トン(昨年度)のペースで増え続けています。これを多核種除去設備(アルプス)で処理した汚染水(アルプス処理水)が、タンクにためられています。
アルプスは、セシウムやストロンチウムなど62種類の放射性物質を国の放出基準(告示濃度限度)未満に低減できるとされますが、トリチウム(3重水素=半減期12・3年)は除去でぎません。。
処理後の水には、トリチウムが1ℓ当たり数十万~数百万ベクレル程度(2021年4月時点の平均濃度は同62万ベクレル)含まれています。告示濃度限度(同6万ベクレル)を超えて汚染されているため、そのまま環境に放出することはできません。
計画では、処理水は測定・確認用タンク(約1万トン×3群)に送られ、第三者分析にかけられます。トリチウム以外の代表的な放射性物質が放出基準を満たしていれば、港湾外から取水した海水をポンプ(1日17万トン×3台)でくみ上けて混合し、トリチウム濃度を1ℓ当たり1500ベクレル未満まで希釈します。海水で希釈された水は、まず上流水槽に送られます。これを下流水槽に流すと、海面との水頭差によって海底トンネルの先の放水□から放出されるしくみです。当面は、上流水槽で混合・希釈の状況を直接確認するとしています。
海水くみ上げポンプが停止した場合は緊急遮断弁を閉じて放出を停止。海域モニタリングで異常値が確認された場合もいったん放出を停止します。
敷地内の約1000基のタンクにアルプスで処理した約134万トンの水がためられていますが、そのうち「処理水」は約3分の1。残りの3分の2は、アプスが本来の性能を出せずにトリチウム以外の放射性物質が放出基畢を超えて残存した「処理途上水」で、これは再処理する必要があります。
タンク内のトリチウムの総量は約780兆ベクレル(21年4月時点)です。政府と東京電力は、年間のトリチウム放出量を、事故前の同原発からの放出管理目標値(22兆ベクレル)の範囲内と説明。今後も増える処理水を含めて、2051年の「廃炉」完了までに放出するとしています。
3万立方メートル 23年度放出 東電計画
東京電力は22日、福島第1原発の敷地内にたまる放射性物質トリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)の海洋放出について、早ければ24日に放出する計画を発表しました。
東電は第1段階として、22日に1立方メートルの処理水を海水で希釈し、放出立て坑に貯留。第2段階として、トリチウム濃度を確認した後の24日以降に海洋放出を連続して実施するとしています。
東電によれば、第1回の放出でトリチウムの総量は約1・1兆ベクレルで、7800立方メートルの処理水を17日かけて放出するとしています。2023年度に4回の放出を行い、計約5兆ベクレルのトリチウムを含む計約3万1200立方メートルの処理水を放出する計画を示しました。