原子力規制委は14日、中部電に対し原子炉等規制法に基づいて事実関係に関する資料提出を求める「報告徴収命令」を出しました。この日の定例会合で月内にも中部電本店(名古屋市)への立ち入り検査を実施することも正式に決め、今後、不正の実態解明を本格化させます。
読売新聞記事の「【図】ひと目でわかる浜岡原発の不正の経緯」によると、中部電力が基準地震動のデータを捏造したのは19年1月で、規制委は23年9月にその数値を了承しています。要するに審査期間を取ったとしても、審査する能力が欠けていれば意味がないということで、結果的に規制委はチェック機関の使命を果たせないことが示されました。
基本は中部電力の「安全文化の欠如(低さ)」に帰するにしても、そうであれなお更 規制委には「捏造をチェックして防止できる機能を有する」ことが求められます。
東京大の纐纈一起名誉教授は「不正を見抜けない制度なのであれば、規制委自らが基準地震動を作成し、電力会社が作成したものと突き合わせるなど、仕組みの見直しを考えるべきだ」と提案しています。書類審査だけで稼働が認められる現行のシステムでは原発の安全は期せないので、この際 「実効性のあるシステムと陣容」に作り替えるべきです。
事態の解決はあくまでも正しい「基準地震動」が設定されることです。安易に平均値を「基準地震動」にするのは不可で、起こり得る最大の「地震動」であるべきです。
捏造に至った経緯を考えれば浜岡原発の再稼働はあり得ないことで、規制委を含めて「真実」に対して謙虚であるべきです。
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浜岡原発不正、規制委が「実態解明」本格化へ…中部電力への立ち入り検査決定「徹底的に調べる必要がある」
読売新聞 2026/1/14
中部電力浜岡原子力発電所(静岡県)の安全審査で基準地震動のデータが意図的に操作されていた問題で、原子力規制委員会は14日、中部電に対し、原子炉等規制法に基づいて事実関係に関する資料提出を求める「報告徴収命令」を出した。この日の定例会合で月内にも中部電本店(名古屋市)への立ち入り検査を実施することも正式に決め、今後、不正の実態解明を本格化させる。
【図】ひと目でわかる浜岡原発の不正の経緯
規制委事務局の原子力規制庁は同日午後、中部電の豊田哲也・原子力本部長に報告徴収命令の文書を手渡し、3月末までに不正の経緯などを報告するよう求めた。
また、立ち入り検査では審査資料の作成状況を調べる。具体的には、データの作成に関わった社員や外注先への聞き取り、データそのものの確認を行う。組織内の安全や企業統治に関する認識を経営陣からも聴取する方針で、検査期間は少なくとも数か月に及ぶ見通しという。
規制委は、検査結果に基づき安全に関わる4段階の重要度評価を取りまとめ、処分を決める。検査で不正の事実関係や背景を調べて悪質性の高い場合は、原発の設置許可を取り消すことも検討するという。約12年に及ぶ再稼働に向けた安全審査を不合格とする可能性もある。
山中伸介委員長は記者会見で「基準地震動に関わる部署だけでなく、中部電力全体の問題だ。徹底的に調べる必要がある。不正が行われたことは確実で、かなり重大な対応になる」と話した。規制委は同日、中部電以外の電力会社にも、審査資料の適切な作成を求める注意喚起を行った。
「審査不合格」も検討
今後は規制委が不正の全体像を解明し、原発の審査不合格を含む重い処分を下すかが焦点となる。
規制委が厳しい姿勢を見せるのは、原子炉建屋などの耐震設計の前提となる基準地震動の算出で都合のよいデータが使われ、安全対策の根幹が揺らいだためだ。名古屋学芸大の山本一良教授(原子力工学)は「基準地震動は最も大事な目安。中部電の不正行為は安全審査の前提を覆すもので審査そのものの意味がなくなってしまう」と話す。
不正の行われた時期は、地震動に関する審査が山場を迎えていた時期と重なる。元原子力規制庁幹部の山形浩史・長岡技術科学大教授(安全工学)は「不正が起こるのは経営側の責任で、個人の責任ではない。早期再稼働への組織としての意向が、現場への重大なプレッシャーになった恐れがある」と推測する。
国内では既に14基の原発が再稼働しているが、規制委は他の原発の調査には消極的な姿勢だ。現状の審査では各電力会社が提示するデータの不正を科学的に見抜くのは困難なためで、山中委員長は「(調査を中部電以外に)水平展開する考えはない」と繰り返している。
東京大の纐纈(こうけつ)一起名誉教授(応用地震学)は「不正を見抜けない制度なのであれば、規制委自らが基準地震動を作成し、電力会社が作成したものと突き合わせるなど、仕組みの見直しを考えるべきだ」と提案する。(科学部 金堀雄樹、加藤遼也)
浜岡原発でデータ不正操作問題 原子力規制委員会は不正の経緯や再発防止策を報告するよう命令
テレビ愛知 2026/1/14
中部電力が、静岡県にある浜岡原子力発電所の再稼働のための審査で、データを不正に操作していた問題で原子力規制委員会は、1月14日、中部電力に対し、不正の経緯や再発防止策を報告するよう命令を出しました。
浜岡原発の再稼働のための審査で、中部電力が耐震設計の目安となる地震の揺れのデータを不正に操作していた問題で、原子力規制委員会は、不正の経緯や再発防止策の報告をするよう命令を出しました。不正の経緯については2026年3月末までの報告を求めています。
中部電力 豊田哲也原子力本部長:
「いただいた命令書についてはしっかり確認して対応したい」
原子力規制庁は、中部電力からの報告を待たずに立入検査を予定していて、記録の確認や聞き取り調査などを行うということです。立ち入り検査について、原子力規制委員会 山岡耕春委員は次のように話しました。
原子力規制委員会 山岡耕春委員:
「いわゆる安全文化の問題。どういう意識でこういうこと(データの不正操作)がなされたかまで、最終的に明らかになるようになるといい」
原子力規制委員会の山中伸介委員長は次のように話しました。
原子力規制委員会 山中伸介委員長:
「重大で深刻な事案であると考えている。全社的に徹底的に調査するように指示をした」
この問題を受け、現在進められている浜岡原発の再稼働に向けた審査は、当面「中断」されることになります。
"安全文化の劣化"どこまで「深刻さを確認する」原子力規制委が再稼働審査“凍結”を正式決定 中部電力の対応に「地域軽視」の指摘も 浜岡原発データ不正問題
静岡放送(SBS)2026/1/14
■原子力規制委 審査"凍結"を正式決定
静岡県御前崎市にある浜岡原子力発電所の再稼働審査をめぐり、中部電力がデータを不正に操作していた問題で、原子力規制委員会は、審査の"凍結"を正式に決定しました。
規制委員会は、今後「安全文化の劣化の深刻さを確認する」としています。
<原子力規制委員会 山中伸介(やまなか・しんすけ)委員長>
「原子力あるいはその土建部という矮小化した範囲に限らずに、中部電力全体についての検査を視野に入れて、きちんと徹底的に調べていただければ」
2026年1月14日の原子力規制委員会で追及されたのは、中部電力の安全文化です。
この問題は、浜岡原発3号機と4号機の再稼働をめぐる審査で、中部電力がデータを不正に操作し、意図的に地震の揺れを小さく見せていた疑いが発覚したものです。
規制委員会は、審査を白紙に戻す見通しを示していましたが、1月14日「資料の信頼性が損なわれている」として当面の中断を正式決定。
さらに中部電力に対して、事実関係や原因などを調査して報告するよう「報告徴収命令」を出しました。事実関係については、今年度中の報告を求めています。
■中電・林社長が地元自治体に謝罪へ
<御前崎市 下村勝市長>
「重い判断がされることは予想していました」
浜岡原発が位置する静岡県御前崎市の下村市長。1月15日に中部電力の林欣吾(はやし・きんご)社長が謝罪に訪れます。
<下村市長>
「安全の根幹にかかわる部分で信頼性が揺らいでいるというところに対して、いろんな意味で状況を再確認しなければならないという認識をしました」
浜岡原発をめぐっては、2011年の東日本大震災を受けてすべての原子炉が停止。
再稼働に向けての安全審査を申請したのは、2014年のことでした。
<中部電力の担当者(当時)>
「今回申請をしたから、あるいは申請をしないからということにかかわらず、安全に天井はございませんのであらゆる対策を講じていく」
安全に対するこだわりは、どこで不正に変わったのか。
■「信頼関係を覆す由々しき事態」地元から厳しい声
地域との関係修復に向けて中部電力の謝罪は続きます。
<中部電力 豊田哲也原子力本部長>
「杉本市長を始め、地域の皆様に多大なる心配、不安をかけたことを心よりお詫びする。申し訳ございませんでした」
<牧之原市 杉本基久雄市長>
「これまで築いてきた信頼関係を覆す由々しき事態だと思っている。さらには我々の方から説明を要請しなければ(中電側が)来ない。市民も不安に感じている。しっかり誠意を示してもらいたいし、安全対策も講じてもらいたい」
■問題発覚後に浜岡原発に来たのに...
また、さらなる怒りを買ったのは、中部電力の社長の対応。
データ不正問題発覚から2日後の1月7日、林欣吾(はやし・きんご)社長が浜岡原発を訪れていたことが明らかになりました。
その際、浜岡原発が位置する御前崎市や周辺自治体には、立ち寄っていませんでした。
<杉本市長>
「林社長はあす(1月15日)謝罪に来るといっているが、実は浜岡に7日に入っていたというのは地域をないがしろにしている。信頼関係を裏切る。事後についても不適切」
市民からも怒りの声がー。
<地元市民>
「真っ先に地元に来るべき。地元があっての中電ですのですみやかに対処してほしかった」
<地元市民>
「やっぱり本部が名古屋でしょ。遠くのことだし自分たちのことしか考えてない」
■政治も揺るがす審査の"凍結"
組織の安全文化に疑問を投げかけられた形の中部電力。規制委員会による審査の“凍結”の決定は、政治も揺るがしています。
<自民党の特別委委員長 細野豪志衆院議員(静岡5区)>
「極めて深刻な事態。中部電力にはまず猛省を促したい。そして体制の抜本的な改革をやってもらいたい」
自民党は1月14日、緊急の特別委員会を開き、委員長の細野豪志衆院議員が語気を強めました。
<自民党の特別委委員長 細野議員>
「しっかりとした原因究明と信頼回復をしなければ、再稼働というのはあり得ない話です」
規制委員会の判断に静岡県のトップはー
<静岡県 鈴木康友知事>
「審査の前提条件が崩れたということですので、1度ここはストップして、もう1回見直すということはまさに妥当なことだと思う」
規制委員会は、今後、中部電力への立ち入り検査も決定しました。
<原子力規制委 山中委員長>
Q. 経営層含めて安全文化の検証までたどり着けるのか?
「安全文化の劣化がどの程度の範囲で、どの程度深刻なものであったのか、検査の中で確認できるものと確信している」
■今後の動きは...
今後の動きです。
原子力規制委員会は、早ければ1月中にも中部電力本店に立入検査を行う可能性があるとしています。また、必要に応じて、浜岡原発への立ち入り検査も行う可能性があるとしています。
中部電力の林社長は、謝罪と説明のため、1月15日に御前崎市、菊川市、牧之原市、掛川市を訪れる予定です。