2014年3月12日水曜日

福島原発事故 全国で東電と国に損害賠償を提訴

 原発事故被災3年目を迎えた10日、マスメディアがほとんど批判をしないのをいいことに東電には、ADRが示した和解案拒否するなど、およそ被害を補償する誠意が見られないなか、全国各地で東電や国に賠償を求める訴訟が起されました。
 
 福島、栃木両県で被災した計234人10日、東電と国に総額約46億6300万円の賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こしました。原告には東電社員1人が参加しています。事故を巡って現役社員が東電を訴えたのは初めてです。
 
 福島県から山形県に身を寄せている避難者計208は10日、東電と国に対し、慰謝料計227700万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こしました。昨年月に続く次提訴で、1次提訴と合わせ原告は434人、請求総額は477400万円となりました訴状では、原発が津波で全電源を喪失する可能性を把握していながら東電は対策を講じず、管理する立場の国も権限を行使しなかったとしています。
 
 同じく埼玉県に避難した被災者やその遺族ら世帯の計16も10日、東電と国を相手に慰謝料など計3100万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こしました。原告の被災者らは「原発事故を起こした法的責任が東電と国にあることを明確にしたい」としています
 
 同じく愛媛県に避難している6世帯12人10日、東電と国に慰謝料など計6600万円の損害賠償を求め、松山地裁に提訴しました。四国では初めての訴訟となります原告のうち世帯人は現時点では国による居住規制などがない地域からの自主避難者たちで、自主避難者への中傷などを懸念し、裁判所に原告情報の閲覧制限を申し立てました。 
 全国では1人当たり1000万円以上の請求が多いのですが、この訴訟では原告が受けた被曝や地域社会・家族分断などによる精神的苦痛、経済的被害などの損害は1人当たり1500万円を下らないものの、現時点で算定困難な不動産損害や将来の健康被害を除外した上で、1人550万円の支払いを求めています。 
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福島原発事故 避難234人が東電提訴…社員1人も原告
毎日新聞 2014年03月10日
 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ精神的苦痛を受けたなどとして、福島、栃木両県で被災した計234人が10日、東電と国に総額約46億6300万円の賠償を求める集団訴訟を東京地裁に起こした。原告には東電社員1人が参加。原告弁護団によると、事故を巡って現役社員が東電を訴えたのは初めてとみられる。また同日、新潟、山形、群馬などの各県でも避難者が集団提訴した。
 訴えた社員は、事故当時、福島県大熊町の社員寮に住んでいた20代の男性で請求額は1800万円。弁護団によると、社員は原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)に仲介を申し立て、ADRが示した和解案を基に東電から賠償金を受け取っていた。だが、昨夏、東電が運営する県内の独身寮に転居した後、ADRが示した和解案を東電が拒否したため、提訴に踏み切ったという。
 男性は事故後、現地対策拠点「オフサイトセンター」で住民の安全確保や避難対策などに従事していたが体調を崩し2013年5月に労災認定を受けた。現在は関東地方に住んでいる。【川名壮志】
 ▽東京電力の話 訴状が送達されていないため詳細は承知していないが、真摯(しんし)に対応していく。
 ▽原子力規制庁の話 訴状が送達されていないため、現時点ではコメントできない。
 
 
山形県避難者が東電と国相手に2次提訴 207人「責任果たして」
山形新聞 2014年03月11日
 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ、精神的苦痛を負ったとして、福島県から本県に身を寄せている避難者ら計207人が10日、東電と国に対し、慰謝料計22億7700万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こした。昨年7月に続く2次提訴で、1次提訴と合わせ原告は434人、請求総額は47億7400万円となった。
 今回提訴したのは南相馬市、福島市、郡山市などから家族が本県に避難している58世帯で、このうち55世帯が避難区域外からの自主避難。訴状では、原発が津波で全電源を喪失する可能性を把握していながら東電は対策を講じず、管理する立場の国も権限を行使しなかったと主張。事故により被ばくの不安にさらされ、生活の場を奪われたとして1人当たり1千万円の慰謝料を求めた。
 県弁護士会の有志63人でつくる原発被害救済山形弁護団(団長・安部敏弁護士)は同日、山形市の県弁護士会館で記者会見し「避難者に生じている被害を明らかにし、完全賠償を実現する」とする新潟、群馬、埼玉3県の弁護団との共同声明を発表。妻と2人の息子が山形市に避難している原告の石川哲也さん(43)=伊達市=は「自宅の除染など親としてできることはやってきた。国、東電も責任を果たしてほしい」と訴えた。
 山形弁護団の支援による裁判外紛争解決手続き(ADR)には同日までに165世帯が申し立て、約50世帯で和解が成立しているという。弁護団は「実費分の賠償は得られる。活用してほしい」としている。 
 
 
「原発事故の責任を」 福島からの避難者ら 国・東電相手に提訴
 東京新聞(埼玉版) 2014年3月11日
 東京電力福島第一原発事故で、福島県から埼玉県内などに避難した被災者やその遺族らが十日、東電と国を相手に慰謝料など計二億三千百万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こした。原告の被災者らは「原発事故を起こした法的責任が東電と国にあることを明確にしたい」としている。
 提訴したのは、福島県南相馬市や浪江、双葉、広野、富岡の各町から、さいたま市や千葉県野田市などに避難している被災者とその遺族ら六世帯の計十六人。
 訴状では、原発事故前に国は原発への規制を怠るなどし、東電は炉心損傷を引き起こすような重大事故への対策を怠ったと指摘。住み慣れた土地での生活から引き離された精神的苦痛に対する慰謝料や、事故で失った自宅や土地の賠償などを求めている。
 家族三人で浪江町からさいたま市に避難する無職男性(63)は、原子力損害賠償紛争解決センターを利用した賠償請求をしたが、東電の賠償指針に沿った和解案に納得できず、提訴を決めた。男性は提訴後の会見で「国や東電の姿勢からは、事故を起こしたという責任を全く感じない。賠償に避難者の声を反映してもらいたい」と訴えた。 (増田紗苗)
 
 
福島事故県内避難者が東電と国を損賠提訴 松山
愛媛新聞 2014年3月11日
 東京電力福島第1原発事故で平穏な生活を奪われたなどとして、福島県から愛媛県に避難している6世帯12人が10日、東電と国に慰謝料など計6600万円の損害賠償を求め、松山地裁に提訴した。 
 弁護団の野垣康之弁護士によると、同様の集団訴訟が全国で係争中で、四国では初めて。全国では1人当たり1千万円以上の請求が多い。愛媛の原告は1~64歳の男性7人女性5人で、うち5世帯8人は現時点では国による居住規制などがない地域からの自主避難者。自主避難者への中傷などを懸念し、裁判所に原告情報の閲覧制限を申し立てた。 
 訴状によると、原告が受けた被ばくや地域社会・家族分断などによる精神的苦痛、経済的被害などの損害は1人当たり1500万円を下らないと主張し、現時点で算定困難な不動産損害や将来の健康被害を除外した上で、1人550万円の支払いを求めている。