2014年3月6日木曜日

群馬県の保護者の7割 放射能汚染に不安

 群馬大の西村淑子教授が、福島原発事故に伴う放射能汚染に対する、群馬県民の意識調査結果を公表しました。
 この意識調査は昨年1012月、県内各地の保育園や幼稚園などを通じ、小学生以下の子どもがいる保護者2000人にアンケートを配り、割の1434から回答を得たものです
 回答者のうちの6割は、国から汚染状況重点調査地域に指定され、除染計画を策定した自治体に住んでいます
 
 調査の結果、放射性物質が子どもへ与える影響については、71.4%の人が「少し」または「大いに不安を感じています。
 子どもの被ばく検査については、40・9%が「希望」しています。
 放射能汚染の可能性のある食品については、44・1%が「なるべく避けている」と回答しました。
 
 一方、行政が発信している放射性物質に関する情報について、五段階評価(が最高評価)、「分かりやすさ」については「3」以下が94.6%、「信頼性」でも」以下が90%であり、分かりにくい上に殆ど信頼もされていないことが明らかにされました。
 
 除染が行われない以上、放射能に対する不安は今後も少なくとも数十年は持続する筈です。
 そういう中で行政の情報発信にこれほど信頼がなくなっていては、一体どうすればいいのでしょうか。
 少なくとも行政はその事実をまず認識し、改めるべきです。
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保護者7割 今も不安 放射能汚染 群馬大 西村教授調査
東京新聞 2014年3月6日
 東京電力福島第一原発事故に伴う放射能汚染に対する意識調査で、子どもがいる県内の保護者の七割は汚染が子どもに与える影響にいまも不安を感じていることが分かった。一方、汚染に関する行政情報の「分かりやすさ」や「信頼性」への評価は低い。調査をした群馬大の西村淑子教授(行政法)は「行政と市民のコミュニケーションがもっと必要」と話す。 (伊藤弘喜)
 
 今後の放射能対策のあり方を探ろうと、昨年十~十二月、県内各地の保育園や幼稚園などを通じ、小学生以下の子どもがいる保護者二千人にアンケートを配り、七割の千四百三十四人が回答した。このうち六割は、国から汚染状況重点調査地域に指定され、除染計画を策定した自治体に住んでいる。
 
 放射性物質が子どもへ与える影響については、59・1%の人が「少し不安を感じる」とし、12・3%は「大いに不安を感じる」と答えた。子どもの被ばく検査については、40・9%が「希望する」で、「有料でもいいので受けたい」と自由記述欄に書いた人もいた。
 放射能汚染の可能性のある食品については、44・1%が「なるべく避けている」と回答。自由記述で「きちんと放射能検査をしていると分かっていても、子どもが食べるものは東北のものを避けてしまう」と書いた人もいた。
 
 一方、行政が発信している放射性物質に関する情報について、五段階評価(5が最高評価)してもらったところ、「分かりやすさ」では2と答えた人が33・5%で、1が31%、3が30・1%。「信頼性」でも3が33%、1が32%、2が25%。
 
 行政情報への評価が低い中、国や県が実施している食品の放射性物質検査の方法や結果を六割が「知らない」と回答。一般人が年間に被ばくしても健康に影響がないとされる被ばく線量や、放射性セシウム134と137、放射性ヨウ素などの半減期、食品中のセシウム濃度の基準値など、基本情報を「知らない」と答えた人も七割に上った。
 
 自由記述で、「何が正しく、何が誤っているのか分からず、結局気にしないようになってしまった」「発表される情報に疑心暗鬼になっている」などと、情報をめぐるいら立ちも目立った。
 原発事故直後、政府が「ただちに健康に影響はない」と繰り返し混乱が生じたことや、低線量被ばくが体に与える影響が必ずしも明確でなく、インターネットなどでさまざまな情報が氾濫したことも背景にあるとみられる。
 
 結果の概要は、宇都宮大学国際学部付属多文化公共圏センターのホームページから「福島乳幼児・妊産婦支援プロジェクト」に入り、「アンケート調査」の中の「資料集」で見ることができる。
 
◆脱原発イベント 高崎で9日「希望の牧場」吉沢さんも
 東日本大震災から3年を迎えるのを前に、脱原発を考えるトークやデモで市民らが交流を深めるイベント「さよなら原発アクション」が9日、高崎市中心部で開かれる。トークでは、国が殺処分を求めている家畜を福島県浪江町の居住制限区域一帯で飼い続けている吉沢正巳さんが原発事故の悲惨さを訴える。
 吉沢さんの営む「希望の牧場・ふくしま」は福島第一原発から約14キロ。国は原発から20キロ圏内の家畜について、被ばくにより価値がなくなったとして、殺処分への所有者の同意を求めている。
 
 しかし、吉沢さんは生命の尊さなどを訴えるために殺処分を拒否し、他の畜産農家が見放した家畜も引き取って数百頭を手弁当で育てている。一帯の放射線量はいまだに高く、自らの健康を犠牲にした信念の行動だ。
 トークは正午ごろから、高崎城址(じょうし)公園で。午後1時半から中心部の数キロをデモ行進する。
 
 イベントは3回目を迎え、県内の労働組合や市民団体など約50団体でつくる実行委員会が主催。参加無料。問い合わせは実行委事務局=電090(2721)9597=へ。 (菅原洋)