NHKは、安全審査を国に申請した全国の10原発から30キロ圏内にある道府県と市町村の合わせて100の自治体に、先月から今月にかけてアンケート調査を行いました。
原発がある立地自治体が22、立地を除く周辺自治体が78でした。
「住民の避難計画の作成を終えたか」については、「終えていない」が39%でした。
主な理由は「県域を超える広域避難対策の調整が完了していない」、「避難先の確保などが課題」などで、避難計画の大きな課題は「高齢者など要援護者の避難支援」、「道路の渋滞などの混乱」、「交通手段の確保」などでした。
「運転の再開を認めるか」については、立地自治体では、「認める」「いずれは認めたい」が合わせて32%、「今は判断できない」が45%でした。
周辺自治体では「認める」「いずれは認めたい」が合わせて12%、「当面、認めない」「今後一切、認めない」が合わせて20%、「今は判断できない」が51%でした。
「高レベル放射性廃棄物の処分場の候補地として国から申し入れを受けたらどうするか」については、「受け入れる」と答えた自治体は全くなく、「申し入れを拒否する」と答えたのは47%でした。
いずれも自治体ベースの回答です。
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原発避難計画 自治体4割 作成終わらず
NHK NEWS WEB 2014年3月13日
東京電力福島第一原子力発電所の事故から3年に合わせて、運転再開の前提となる安全審査を国に申請した原発から30キロ圏内の自治体に、住民の避難計画を尋ねたところ、「作成を終えていない」と答えたのがおよそ4割に上ることが分かりました。
また、原発の運転再開については、原発がある立地自治体でもおよそ半数が「今は判断ができない」と答えていて、自治体の慎重な姿勢が浮かび上がりました。
NHKは、原発事故から3年に合わせて、運転再開の前提となる安全審査を国に申請した全国の10原発から30キロ圏内にある道府県と市町村の合わせて100の自治体に、先月から今月にかけてアンケート調査を行い、すべてから回答を得ました。
このうち、原発がある立地自治体が22、立地を除く周辺自治体が78となりました。
計画作成「終えてない」立地自治体のほうが高く
まず、市町村が住民の避難計画の作成を終えたか尋ねたところ、「終えた」と答えたのが61%、「終えていない」と答えたのが35%になりました。
このうち「終えていない」と答えたのは、▽立地自治体では50%、▽周辺自治体では31%で、立地自治体のほうが周辺より高くなっています。
理由を尋ねたところ、立地自治体から「県域を超える広域避難対策の調整が完了していない(福井県おおい町)」「人口が多く、複合災害を想定する必要があり、避難先の確保などが課題(静岡県)」といった意見が寄せられました。
また、避難計画の大きな課題を複数回答で尋ねたところ、▽「高齢者など要援護者の避難支援」が最も多く80%、▽「道路の渋滞などの混乱」が66%、▽「交通手段の確保」が65%となりました。
医療機関などの計画「把握してない」32%
さらに、地元の医療機関や社会福祉施設が避難計画の作成を終えているか尋ねたところ、「すべてが終えている」「多くが終えている」と答えたのは7%にとどまり、「ほとんどが終えていない」「まったく終えていない」と答えたのが44%、「把握していない」と答えたのが32%でした。
理由を尋ねたところ、「受け入れ施設や搬送手段が未整備である(北海道仁木町)」「単独の施設・自治体で対応できるレベルではない。国・県の支援が必要(長崎県平戸市)」といった意見が相次ぎました。
立地自治体でも再開「今は判断できない」半数に
一方で「近くの原発について、原子力規制委員会が安全性を確認した場合、運転の再開を認めるか」を尋ねたところ、▽立地自治体では、「認める」「いずれは認めたい」が合わせて32%、「当面、認めない」「今後一切、認めない」が合わせて0%、「今は判断できない」が45%でした。
▽周辺自治体では「認める」「いずれは認めたい」が合わせて12%、「当面、認めない」「今後一切、認めない」が合わせて20%、「今は判断できない」が51%となりました。
原発の運転再開には立地自治体の同意が必要ですが、周辺自治体だけでなく立地自治体でもおよそ半数が「今は判断ができない」と答えていて、自治体の慎重な姿勢が浮かび上がりました。
理由を尋ねたところ、立地自治体から「原発の審査結果とエネルギー政策について、自治体や地元住民に丁寧に説明し、理解を得ることが必要(新潟県柏崎市)」「政府は再稼働に向けた手続きを明らかにしていない(島根県)」といった意見が寄せられたほか、周辺自治体からも「福島第一原発の事故は収束していない。事故原因、責任ともに明確になっていない(北海道ニセコ町)」「広域の避難計画などが未整備で、安全対策が万全といえない(静岡県袋井市)」といった意見が寄せられました。
放射性廃棄物処分場「拒否」47%
最後に「高レベル放射性廃棄物の処分場の候補地として国から申し入れを受けたらどうするか」を尋ねたところ、「受け入れる」と答えた自治体は全くなく、「申し入れを拒否する」と答えたのは47%でした。
理由については「住民の安心・安全が何よりも最優先されるため(北海道倶知安町)」という意見のほか、「立地地域以外の消費地において保管すべきである(福井県高浜町)」といった意見も出ました。