共同通信社が2月中旬から下旬にかけて、原発の半径30キロ圏にある156自治体に対してアンケート調査を行いました。
該当の自治体は21道府県と135市町村で、自治体名を公表しない前提で156全ての自治体から回答を得ました。
福島原発事故後、政府は原子力災害対策の重点区域を、従来の半径10キロ圏からおおむね30キロ圏に拡大しました。
自治体アンケートの主な結果は下記の通りです。
規制委が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約2割の37自治体にとどまりました。
事故時の住民避難については、「どちらかといえば難しい」も含めて、半数近い72自治体が困難だとしました。
原発再稼働の同意を得る必要がある「地元」の範囲については、「立地自治体のみ」が30自治体だったのに対し、「30キロ圏の全自治体」を求める回答は58自治体に上りました。
また、政府が高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れを申し入れた場合、約4割の61自治体が「応じない」と回答し、「応じる」はゼロでした。
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再稼働容認2割 原発30キロ圏 同意不要に不満
東京新聞 2014年3月2日
全国の原発の半径三十キロ圏にある百五十六自治体のうち、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を「容認する」と答えたのは、条件付きを含めても約二割の三十七自治体にとどまることが一日、共同通信社のアンケートで分かった。「判断できない」との回答も約四割の六十六自治体に上っており、再稼働に向けた手続きは難航しそうだ。
半径三十キロ圏内の自治体の内訳は二十一道府県と百三十五市町村で、原発事故を想定した対策を求められている。事故時の住民避難を尋ねたところ「どちらかといえば難しい」も含め、半数近い七十二自治体が困難とし、避難準備が整わない実態も明らかになった。再稼働の判断は規制委が審査中の原発の周辺自治体に絞っても、同様の結果だった。
政府は規制委の審査を「お墨付き」にして再稼働を進める方針だ。しかし安全性への不安が強いことに加え政府が自治体や住民への説明方法、将来的な原発の位置付けを曖昧にしていることから、自治体の慎重姿勢が目立つ結果となった。
「容認」は十三自治体、「条件付き容認」は二十四自治体に対し、「容認しない」は三十二自治体だった。
東京電力福島第一原発事故後、政府は原子力災害対策の重点区域を、従来の半径十キロ圏からおおむね三十キロ圏に拡大し、対象は十五道府県と四十五市町村から大幅に増加した。再稼働の同意を得る必要がある「地元」の範囲を聞いたところ、「立地自治体のみ」が三十自治体だったのに対し、「三十キロ圏の全自治体」を求める回答が五十八自治体に上った。
国と電力会社、立地自治体だけで再稼働を決める従来の手法への不満が強いことをうかがわせた。
全電源に占める原発の比率は「段階的に減らし将来ゼロ」を求める答えが七十八自治体と半数に上った。「即時ゼロ」も三自治体で、「一定比率を維持」(二十五自治体)など政府方針と同様に原発活用に前向きな自治体よりも「原発ゼロ」を求める自治体が多かった。
原発別では、規制委の審査が先行する九州電力川内原発(鹿児島県)などでは再稼働を、条件付きを含めると「容認する」が「しない」を上回った。福島県の自治体や、浜岡原発(静岡県)では「容認しない」が多かった。アンケートは二月中旬から下旬にかけて実施。自治体名を公表しない前提で、百五十六全ての自治体から回答を得た。
◆処分場「応じる」ゼロ
原発の自治体アンケートでは、政府が高レベル放射性廃棄物の最終処分場受け入れを申し入れた場合、約四割の六十一自治体が「応じない」と回答し「応じる」はゼロだった。政府は国主導で候補地を絞り込む方針だが、自治体の拒否感は強く、選定は難航しそうだ。
政府は昨年、自治体が応募する従来の方式の見直しを始めた。ただ新方式は詳細が不透明で、四十二自治体が「無回答」など明確な回答を避けた。