2014年3月6日木曜日

福島医大の医師たちはヨウ素剤を服用 事故時

 2011年3月福島原発事故が起きたとき、県立福島医大の医師たち県民に放射能は安全だ」と言ったのに、自分たちは「危険だから」甲状腺がんの防止剤安定ヨウ素剤を飲んでいたという衝撃的事実が明らかになりました。何んとも名状しがたいような事件です。
 
 原発事故時、福島県庁は114万錠の安定ヨウ素剤を急いで入手し、自治体に配りましたが、放射線医学総合研究所(国の研究機関)事故後すぐに、「指示が出るまで勝手にヨウ素剤を服用してはいけない」と発表したため、結局県民に配られませんでした
 福島医大山下俊一副学長は、数日後、「福島原発から30キロメートルほど離れれば被曝量は1ミリシーベルト以下でヨウ素剤配布は不要と断定し、県民向けの講演でも「子供は外で遊んでいても問題ない」と言いました
 しかし、福島医大は県から4000錠のヨウ素剤を入手し、312日から職員の家族や学生にも配布し水に溶かしてすぐに飲むようにと指導しました
 
 武田邦彦氏は、医師が、1)放射能が健康に危険な状態にあることを知っていて、2)それを隠して(住民に告げずに)、3)自分たちだけヨウ素剤を飲んで防護し、4)その事実を隠していた、ということは、住民に対する傷害罪にも匹敵するものと糾弾しています(以上「お母さんのための原発資料探訪(6)」より要約)
 そして同シリーズの「原発資料探訪(」では、「現在の福島の子供たちの甲状腺異常の状態」から見て、現時点でも児童に通常の130倍の甲状腺がんが発生していることから、その「故意の傷害罪」が裏付けられているとしています。
 
 山下俊一氏らは、今になって放射能は安全の発言(=演説:ユーチューブでいくらでも見られます)の修正に努めていますが、被曝させて発症させてからそんな言い訳をしても、通用するものではありません。
 医師団も児童33人の甲状腺がんは既に除去したから問題ないという態度ですが、甲状腺ホルモンが分泌されなくなれば、一生涯ホルモン剤を補い続けなければならないのですから、患者は想像を絶するダメージを受けるわけです。しかもチェルノブイリの例から見ると、今後患者が爆発的に増える惧れがあります。
 絶対に看過できない問題です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お母さんのための原発資料探訪(6)
 気を緩めないで!・・福島医師団がウソ
武田邦彦 2014年3月4日
前から噂はあったけれど、「福島の医師団が県民に「安全だ」と言ったのに、自分たちは「危険だから」と安定ヨウ素剤(甲状腺がんの防止剤)を飲んでいた」という衝撃的事実が明らかになった。NHKなどもほとんど報道していないが、ものすごい事件である。事の次第は次の通り。
2011年3月の福島原発事故が起こり、福島県や医師団は「大丈夫」をくりかえした。一方、福島県庁は114万錠の安定ヨウ素剤を急いで入手し、自治体に配った。しかし、三春町を除いて県民に配られなかった。
「汚染に関するデータがなかったこともあるが、医学界の権威の意見が大きく影響していました」(武田注:法令はあった)。放射線医学総合研究所(国の研究機関)は、事故後すぐ「指示が出るまで勝手にヨウ素剤を服用してはいけない」と発表したからだ。
 
さらに数日後、山下俊一氏(医師?、県立福島医大副学長)が「福島原発から30キロメートルほど離れれば被曝量は1ミリシーベルト以下でヨウ素剤配布は不要」と断定。県民向けの講演でも「子供は外で遊んでいても問題ない」と言った。
その一方で、福島医大は、県から4000錠のヨウ素剤を入手。3月12日から配り始め、医療行為をしない職員の家族や学生にも配布した。その時には「水に溶かしてすぐに飲むように」と服用の仕方を指導している。
 
「事故が発生してから病院に来なくなった医師もいて、動揺が広がっていました。院内の混乱を鎮めるために、上層部がヨウ素剤の配布を決めたようです。しかも服用を県に進言していない手前、配布については緘口令が敷かれていました」(医大職員)と言っている。医師は被曝によって健康を害することを心配していたのだ。
 
当時の状態をある医師はつぎのように言っている。
「情報やデータがないなか、医療機関として最後まで現場に残らなくてはいけないという認識のもと、職員の動揺を抑える目的で医大教職員と家族の配布に踏み切りました。学生に配布したのは、不安が広がっていたためです。緘口令を強いた理由は、国や県から服用指示の基準が住民に示されていないなか、医大が独自の基準を作ってしまうことになるからでした」(広報戦略室)
 
福島県地域医療課の課長は最初、事実を隠していたが、現在では次のように説明している。
「ヨウ素剤は、福島第一原発から50キロ圏内にある各自治体に配布しました。住民への配布を指示しなかったのは、判断するデータがなく、踏み切れなかったからです。医大へ配ったのは、被災地へ出向く医師などを対象としたもの。医大が家族や学生にまで配ったのであれば、疑問を感じます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このブログにも再三、書いたように、「医師」というのは、1)長期間高度な鍛錬を受け、2)国家資格を持ち、3)容易に解雇されず、4)治療で人の体を傷つけても傷害罪に問われない、という特殊な専門職である。
 
このように医師が保護されているのは、どんな場合であっても「人の命と健康」を第一に考え、たとえ自分が不利になっても、「人の命と健康」だけを考えて行動できるようにしているからだ。
 
その医師が、1)自分の命と健康に危険な状態にあることを知っていて、2)それを隠して(積極的に住民に言わずに、あるいは健康に影響はないと言い)、3)自分たちだけ防護し(ヨウ素剤の服用)、4)その事実を隠していた、ということは、医師の基本的な資格に欠けるので、福島医師団でヨウ素剤を服用した人は「すべて」医師免許を返納しなければならない。
そして、国は返納した医師に一定期間の「医師倫理、専門家倫理」を教育し、再試験を行い、医師として必要とされる倫理感を有し、どんな危機の時にも専門家として尊敬される行動がとれる人だけを、再認定するべきである。
 
この事実と次回に整理する「現在の福島の子供たちの甲状腺異常の状態」を見ると、ほぼ「故意の傷害罪」に問われると考えられる。この先は検察庁が国民側にたって、積極的をすることが大切で、判断を待ちたい。
 
 
お母さんのための原発資料探訪(7)
 気を緩めないで!・・福島の子供のガン
武田邦彦 2014年3月4日
福島の医師団が、自分たちだけ甲状腺がんの防止剤(ヨウ素剤)を服用し、福島の子供たちには「被曝しても安全」と言っていたことがわかり、大きな衝撃を与えている。
 
医師と言うのは、一般人や子供の健康を守ることが役目だから、自分が危険と思って薬を服用して、その薬が胃の中にあるのに、口では「安全だ」というのはまったく医師ではない。先回の記事で求めたように、福島医師団で、ヨウ素剤を服用した人、医師が服用したのに黙っていた医師は即刻、医師免許を返納しなければならない。
 
人間、信用が一番だが、特に医師が信用を失っては「人の健康のために人を傷つける」ことはできなくなる。ウソが入っているから、もうけのために手術と考えてよい。
 
ところで、この問題は「服用して、それを隠した」というだけで犯罪だが、さらに現在、福島では子供の甲状腺異常や甲状腺がんが増大している。まだ今後のことはわからないが、「密かに甲状腺がんの防止剤を服用した」という医師団の行為は、1)法律的にも(1年1ミリを超えると危険としている)、2)医学的にも、正しかった(自分の身を守ることだけとしては正しい)ことがわかる。


Photo

このグラフの横軸は時間ではなく A1判定、A2判定、B判定の区分を示します。
  2011~2013年の時間経過は、青⇒橙色⇒鼠色で表示されています:事務局
 
まず甲状腺異常だが、この図はある専門の先生が私に送ってくれたもので、福島の子供の甲状腺異常の変化を示している。注目しなければならないのは、「A2判定」の変化である。A2判定というのは甲状腺の結節や嚢胞が肥大していることを示していて、がんなどの前段階とみられている。
 
その結果によると、2011年に35%ぐらいだったものが、2012年には45%、2013年にはさらに増えて55%に達している。その反面、結節や嚢胞があまり大きくないA1判定の子供は減少している。つまり、データから言うと「子供の甲状腺の異常が進行している」ことを示している。Photo

次に福島原発の小児がん関係であるが、これも専門の先生からのデータと考え方だが、福島の子供たちは、平常なら10万人上表では100万人:事務局に1人ぐらいの甲状腺がんが130人と現在の時点では130倍になっている。まさに、福島医師団が自分たちだけヨウ素剤を服用したのは、医師団の健康にとっては正しい判断だったのだ。
 
また、ここで?になっているその他の小児がんであるが、これはすでに福島の各病院に記録があるから、それを集計すれば、現在時点の甲状腺がん以外のガンの発生に変化があるかがわかる。
 
しかし、データは発表されていない。これこそ、税金をとって運営されている国立がんセンター(がんの撲滅のために国民が税金を出して医師などを雇用している研究所)が時々刻々、データを発表し、危険を未然に防ぐことをしなければならない。
 
国立がんせんがーは福島事故以来、本来の役割を忘れて、盛んに「タバコや野菜不足と被曝の関係」(この間違はこのブログで整理し指摘する予定)などを示し、被曝によるがんの発生を少しでも抑える活動をしていない。
 
国立研究所は文科省や厚生省、環境省などのもとにあるが、「支配下にある」というのと、「職務が政治などと独立している」というのは全く別である。国立研究所は政治とは独立した行動をとらなければならない。それを改めて要請したい。
 
またお母さんがたは3年目になって、疲れていると思いますが、このような状態(医師がウソをつき、国立センターがデータを出さず、私たちが外から整理したデータでも子供たちの健康がむしばまれている)であることを、改めて意識して、より一層、お子さんを守る行動をとってもらいたいと思います。
 
原発を再開したいと思っている人たちに・・・原発を再開したいというのだから、原発は安全だと考えておられると思いますが、ぜひ、福島原発の事故の後の国民が健康の不安を抱えていることを考え、再開の意味をもう一度、考え直してもらいたいと思います。
 
日本人で苦しんでいる人の痛みが分からない人は、日本で一緒に暮らすことはできないと思うからです。 「絆」というのはいったい、何なのでしょうか??