夕刊フジが18日、ジャーナリスト細川珠生氏による現地レポートを掲載しました。
福島原発で廃炉作業や汚染水対策に当たっている東電の社員約1000人と協力会社・下請け企業の作業員ら約4000人は、事故から3年経った現在も、極めて劣悪な住環境や労働環境下で作業を続けているということです。
細川氏は、廃炉完了まで少なくとも30~40年は掛かるとされているなか、「この劣悪な環境の下で数十年続く工程を間違いなくこなせるのか」、国民は冷静に考えていく必要があると問題提起しています。
福島原発の現場も、また東電の上層部も、事故直後の応急対応の気分のままでこの3年を過ごし、今後も過ぎて行くかのように見えます。
「国民は冷静に・・・」と表現していますが、改善を具体的に図れる主体は先ずは東電の上層部であり、その前面に立つと言っている国です。先ずは住環境等、直ぐにも改善できるところから根本的に見直していくことが必要で、それが作業効率のアップにもつながることになると思われます。
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福島原発、社員・作業員らの劣悪環境 数十年続く工程をこなせるか
細川珠生 夕刊フジ 2014年3月18日
福島原発事故から3年、第1原発では今でも連日、東京電力の社員約1000人と、協力会社や下請け企業の作業員ら約4000人が、廃炉作業や汚染水対策にあたっている。廃炉完了まで30~40年とされるが、彼らの住環境や労働環境は劣悪だという。ジャーナリストの細川珠生氏が迫った。
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私は先日、福島第1原発を視察した。原子炉4基の廃炉に絡み、汚染水漏れや作業の不備がたびたび批判されるが、一連の作業が、社員や作業員らの高い技術力と使命感で支えられているのも事実だ。
ところが、原発で働く人々の住環境や労働環境はひどい。
現在、第1原発の免震重要棟には約200人の東電社員が詰めている。福島第2原発には約800人がおり、全体で約1000人が行き来しながら対応している。免震重要棟には夜間も70~80人が宿直するが、隙間なく2段ベッドが置かれた一部屋で夜を過ごす。
当直以外の社員は、原発から20キロ離れたJビレッジのグラウンド内に建てられたプレハブの仮設住宅に戻る。4畳一間にパイプベッドと机があるだけで、トイレも洗面所も屋外にあり、シャワーはグラウンド外の離れた場所にある。冬の寒さは刺すようだ。原発施設内には食堂はなく、3食弁当しか食べられない。
約4000人の作業員には、十分な休憩を取るスペースもない。防護服を着用しての作業は、特に真夏の暑さの中では過酷を極める。息苦しさの中で、日々、世界に先例のない作業を、慎重に行っていくには過酷だ。
これらは事故直後ではなく、現在の日常なのである。大型休憩所や給食センターの建設が決まるなど、少しずつ改善されてはいるとはいえ、「あれだけの事故を起こしたのだから当然だ」といった感情論では危険である。
30~40年と続く長い工程を間違いなくこなすためにも、国民もこれらのことを冷静に考えていく必要があるのではないだろうか。