2021年5月21日金曜日

福島第2も核防護不備 東電、運転開始前から

 福島第二原発で、「防護区域」に通じる扉の管理が不十分などの核物質防護不備が少なくとも6カ所判明しました。この不適切管理は営業運転開始以前から続いていたということです

 規制委によると、第二原発の運転当直員が319日、4号機の防護区域境界にある通路扉一カ所で、必要な管理が行われていないのを発見。翌20日には1号機でも同様の扉一カ所が見つかり、原子力規制庁に報告しました。
 東電はこの2カ所が防護措置が必要な扉であるという認識を持っておらず、規制庁も把握していませんでした。さらに、規制庁が3月下旬に行った検査により、防護区域境界の出入り口の扉で、金属探知機による点検が抜けていたケースが1~4号機で最低一カ所ずつ、合わせて4カ所以上で判明しました。
 規制委は安全重要度を四段階で一番軽い「緑」と判断しました。
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第二原発 扉など核防護不備 東電、運転開始前から
                            福島民報 2021/05/20
 東京電力福島第二原発で、核燃料を扱うため立ち入りが制限される「防護区域」に通じる扉の管理が不十分などの核物質防護不備が少なくとも六カ所判明した。十九日、原子力規制委員会の定例会合で報告された。東電によると、不適切管理は営業運転開始以前から続いていたという。
 東電は、扉周辺は定期検査など以外は人の往来がほとんどなく、外部に通じる別の扉は常に施錠管理されているため、不正な侵入はなかったとみている。規制委は安全重要度を四段階で一番軽い「緑」と判断した。
 規制委によると、福島第二原発の運転当直員が三月十九日、4号機の防護区域境界にある通路扉一カ所で、必要な管理が行われていないのを発見。翌二十日には1号機でも同様の扉一カ所が見つかり、原子力規制庁に報告した。
 防護区域境界の通路扉では人の侵入を検知する機器の設置、IDや手荷物の確認などの防護措置が求められる。しかし、東電はこの二カ所が防護措置が必要な扉であるという認識を持っておらず、規制庁も把握していなかった。さらに、規制庁が三月下旬に行った検査により、防護区域境界の出入り口の扉で、防護措置の一つである金属探知機による点検が抜けていたケースが1~4号機で最低一カ所ずつ、合わせて四カ所以上で判明した。

 東電はこれらの不備を三月に把握していたにも関わらず、地元自治体などに説明していなかった。東電は「是正措置を行う前に公表すれば核物質防護上の脆弱(ぜいじゃく)性が示す懸念があった」と釈明している。
 この日の定例会合では他に、同原発に勤務していた社員が防護区域に出入りできるIDカードを紛失していた事案を業務上不要となったカードの回収を怠った核物質防護事案として報告された。IDカードは既に無効化され、安全重要度は「緑」とした。
 東電の担当者は「防護管理の確認が甘かった。地域や社会に不安を与え、大変申し訳ない。原因究明や改善に努めたい」と陳謝した。
 東電のテロ対策を巡っては、柏崎刈羽原発(新潟県)で同僚のIDカードを不正使用した中央制御室への侵入や、侵入検知装置の故障を事実上放置するなどの不祥事が続発し、規制委は四月、東電に対して同原発の運転を事実上禁じる行政処分を出した。


福島第2も核防護不備 原子力規制委、通路扉管理など既に改善
                        福島民友 2021年05月20日
 原子力規制委員会は19日、東京電力福島第2原発で行った規制検査で、核燃料を扱うため立ち入りが制限される「防護区域」に通じる扉の管理が不十分などの核物質防護関係の不備が3件あったと公表した。安全重要度はいずれも4段階で一番低い評価の「緑」だった。既に改善されたという。
 規制委によると、社員が3月19日に、4号機の防護区域境界にある扉が管理されていないことに気付いた。翌20日には1号機でも見つかった。東電によると、核物質防護担当部門の認識不足で、扉の存在を把握しておらず、不適切な管理は営業運転開始以前から続いていたという。外部に通じる別の扉が施錠管理されているため、不法な侵入はなかったとしている。1~4号機では防護区域の出入り口で行う金属探知機による点検なども取られていなかった。入構用IDカードの紛失問題も指摘された。
 また、規制委は第1原発の保安検査結果も公表。1号機原子炉圧力容器の温度計の配線を誤って接続したため、一時圧力容器内の温度を監視できなくなるなど3件の不備があった。いずれも安全上影響のない「軽微な違反」という。