女川原発2号機(石巻市)の再稼働を巡り、石巻市民が東北電に再稼働の差し止めを求め、近く仙台地裁に提訴する方針を固めました。
原告は広域避難計画について「交通渋滞で30キロ圏内を脱出できない」「避難用のバスの確保と手配ができない」といった問題点を挙げ、実効性のない計画下での再稼働は「住民らの人格権を侵害する具体的危険性がある」と主張しています。
避難計画の実効性を巡っては、水戸地裁が今年3月、原電 東海第2原発(東海村)の避難計画や防災体制の不備を理由に運転を差し止める初の司法判断を示しています。
実効性のない避難計画は過酷事故時に住民の被曝を防げないということで、その場合再稼働を認めないというのはイロハのイに当たる基準です。司法の正当性が試されます。
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女川2号機再稼働、差し止め求め提訴へ 石巻市民「避難計画に問題」
河北新報 2021年05月25日
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、石巻市民が東北電に再稼働の差し止めを求め、近く仙台地裁に提訴する方針を固めたことが24日、分かった。重大事故を想定した広域避難計画は実効性を欠き、再稼働によって周辺住民の生命や身体が害される危険があると訴える。
原告は原発から半径30キロ圏内に住む石巻市民約20人。弁護団は仙台弁護士会などの有志で構成する。
関係者によると、原告は広域避難計画について「交通渋滞で30キロ圏内を脱出できない」「避難用のバスの確保と手配ができない」といった問題点を挙げ、実効性のない計画下での再稼働は「住民らの人格権を侵害する具体的危険性がある」と主張する。
広域避難計画は、国が東京電力福島第1原発事故を受けて30キロ圏の自治体に策定を義務付けた。石巻市を含む7市町は2017年3月までに計画を策定。その後、内閣府や県などで作る「女川地域原子力防災会議」が取りまとめ、政府の原子力防災会議で了承された。
原告らは広域避難計画は実効性を欠くとして、19年11月、再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求める仮処分を仙台地裁に申請。地裁は20年7月に申し立てを却下、仙台高裁は同10月に即時抗告を棄却した。
女川原発は東日本大震災以降、全3基が停止。2号機は20年2月に原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格し、東北電は安全対策工事を終える22年度以降の再稼働を目指す。3号機も審査申請の準備を進める。1号機は廃炉作業が始まった。
避難計画の実効性を巡っては、水戸地裁が今年3月、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の避難計画や防災体制の不備を理由に運転を差し止める初の司法判断を示した。