発電所のタービン軸材の検査データーを、メーカーの日本製鋼所M&E(北海道室蘭市)が2000年ごろから不正に書き換えていたことが分かりました。説明を受けた企業の関係者は「『現時点で安全性に問題ない』としているが、あてにならない。しっかり検証してもらいたい」と述べています。
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日本製鋼の子会社、発電所タービン軸材などの検査データに不正
…経産省が実態把握急ぐ
読売新聞 2022/5/7
産業機械メーカー「日本製鋼所」(東京)の子会社が生産する鉄鋼部材の検査データに不正があったことが分かった。同社幹部が読売新聞の取材に対し、不正があったことを認めた。発電所で使われるタービンの軸材などが対象となっているといい、外部の弁護士らによる第三者委員会を設置して詳しく調べている。
関係者によると、不正を行っていたのは日本製鋼所M&E(北海道室蘭市)。検査結果を実態とは異なる内容に書き換え、顧客と約束した品質基準を満たさない製品を出荷していたという。2000年ごろから続いていた可能性がある。取引先への説明を始めており、週明けにも発表する。
今年に入り、内部からの指摘で発覚した。日本製鋼所の幹部は「安全上の問題はないと考えているが、調査中なので断定できない。事実確認と安全性の確認、これからの再発防止について、きちんと対応したい」と語った。説明を受けた企業の関係者は「『現時点で安全性に問題ない』としているが、あてにならない。しっかり検証してもらいたい」と指摘している。
日本製鋼所M&Eは、原子力発電所に使われる部材など、幅広い製品を手がけている。全国各地の発電所に納入されており、エネルギー政策を所管する経済産業省も、実態把握を急いでいる。
日本製鋼所は1907年創業。発電向けシャフトなどに使う「鋳鍛鋼」では世界大手の一角。取引先は大手電機メーカーや総合重機など幅広い。