別掲の記事によると東電は、原子炉(圧力容器)のペデスタル(底部支持台)の鉄筋コンクリート壁のおよそ4分の1を失い、残る4分の3にも相当のダメージを受けたとしても「耐震性は問題はない」との試算を示したということですが、地震時に必要な支持台だからこそ設置されているものなので、その大半が損傷しても大丈夫という意味が分かり兼ねます。
日テレが原子力を所管する経産省・資源エネルギー庁の参事官の所感を紹介しました。
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参事官も驚いた“激しい損傷”…安全性は?
福島第一原発、新たな「内部映像」公開
日テレNEWS 2022/5/29
先日公開された福島第一原発1号機の内部の映像。原子炉を支える土台のコンクリートが溶けて鉄筋が露出しています。専門家などからは「大きな地震が来た場合に原子炉を支えられるのか」とも指摘されています。
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福島第一原発の1号機から3号機では、溶け落ちた核燃料(=デブリ)の取り出しに向けた内部の調査が進められています。このうち1号機では、先週、新たな内部の映像が公開されました。
原子力を所管する経済産業省・資源エネルギー庁の木野正登参事官は──
木野参事官:「それにしても激しい損傷で、ちょっとびっくりですね。これだけやられているとは思っていなかった」
驚いたというのが、原子炉圧力容器の下で確認された、設備の激しい損傷です。
木野参事官:「下が空洞になっている。デブリの熱でコンクリートが溶かされたか、蒸発したことが考えられる」
撮影されたのは、原子炉圧力容器の真下にあるコンクリート製の「ペデスタル」付近。圧力容器を支える土台に当たる部分です。
本来、コンクリートで覆われているはずのこの場所が、映像からは空洞が確認でき、鉄筋が露出してしまっています。デブリの熱は2800℃ほどとされていて、コンクリートを溶かしてしまったとみられます。
土台に大きな損傷が確認されたことで、原子炉の安全性に懸念が出ています。
木野参事官:「下(土台)がもろくなれば、原子炉を支えられないことや、大きな地震で壊れるというリスクがある。しっかり耐震性を評価していかなければ」
また、確認された原子炉の損傷の程度は、2号機、3号機よりも1号機の方が大きいとみられています。
木野参事官:「1号機が一番初めに炉心溶融を始めているので、冷却できなかった期間が長い。その分、燃料デブリが熱い状態で下に落ちている。土台などの、その辺を大きく損傷した可能性がある」
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一方、今回の映像にもデブリとみられる大量の塊が確認できます。
木野参事官:「これらもデブリの可能性が高い。こういった大きなものは、いっぺんに取れないし、他のものに、こびりついて固まっているので、こういうものは切ったりしていかないといけない」
ようやく明らかになってきた原子炉内部の状況。廃炉を安全に進め、リスクを低減していく、さらなる取り組みが求められそうです。