中部電力・浜岡原発の1号機と2号機(共に沸騰水型)は2009年に運転を終了し30年かけて廃炉にする計画です。解体で出る膨大な廃棄物のうち放射能レべルが極めて低いタービン発電機の部品を、敷地内の側溝のふたにリサイクルする試みが始まっています。
テレビ静岡が報じました。
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タービン発電機を「側溝のふた」にリサイクル 静岡・浜岡原発の“クリアランス物”とは?
テレビ静岡 2022/5/22
静岡県御前崎市にある中部電力・浜岡原発では、1号機と2号機を30年かけて廃炉にする計画だ。解体で出る膨大な廃棄物をどう処理していくかが課題だが、放射能レべルが極めて低いタービン発電機の部品を、敷地内の側溝のふたにリサイクルする試みが始まっている。
【動画】タービン発電機を側溝のふたにリサイクル 静岡・浜岡原発の“クリアランス物”とは?
原発の“クリアランス”とは
2009年に運転を終了した浜岡原発1号機と2号機。中部電力は約30年という歳月をかけて廃炉作業を進めている。
解体作業に伴って発生する廃棄物の量は約45万トンだ。廃棄物は放射性物質による汚染の有無や程度によって、高レベル放射性廃棄物、低レベル放射性廃棄物、産業廃棄物の3種類に分けられ、再利用や処分が行われる。
御前崎市にある木村鋳造所。2022年4月、この鋳造所である取り組みが本格的に始まった。
落合健悟記者:浜岡原発1号機・2号機の解体で発生した「クリアランス物」と呼ばれる廃棄物の再利用が、現在こちらの工場で行われています
国は放射能レベルが極めて低く、人の健康に対する影響を無視できるレベル以下の廃棄物のうち、原子力規制委員会による確認をうけたものについては、放射性廃棄物として扱う必要のないもの、つまり産業廃棄物として再利用や処分ができる制度を設けている。「クリアランス制度」といい、この制度で産業廃棄物として扱うことが認められたものを「クリアランス物」という。
タービン発電機を側溝のふたに
浜岡原発の廃炉ででる廃棄物約45万トンを分類すると、もともと放射能汚染がない産業廃棄物が約78%で約35万トン、原子炉内の構造物など低レベル放射性廃棄物が約4%で約2万トン、そして放射能レベルが極めて低く産業廃棄物として扱うことが認められたクリアランス物は約17%で約8万トンだ。(高レベル放射性廃棄物は使用済み燃料再処理の際に出る廃液をガラス固化体にしたもので、比率は極めて低い)
浜岡原発では初めてとなるクリアランス物の再利用に向けた加工作業が、木村鋳造所で進められている。
中部電力浜岡地域事務所・榊原浩之専門部長:循環型社会の実現、1号機と2号機の廃止措置を着実に進めていくためには、クリアランス物の再利用に積極的に取り組んでいく必要がある。
今回はタービン発電機を解体して発生した金属、約80トンを加工し側溝のふたなどに使う予定だ。
加工作業を請け負った木村鋳造所に聞いた。
木村鋳造所御前崎製作所・梶原道哉所長:使える金属をリサイクルして使うのは、鋳造業のそもそもの成り立ち。私も30年ここ御前崎市に住み(原発と)共存してきているので、できればうちで役に立てればという思いもあった。それが最終的にSDGsの一役になればと、今回取り組みをさせてもらった
再利用されて鋳造された側溝のふたは、表面をきれいにして塗装され発電所の敷地内で使われる予定だ。