日本共産党の岩渕友議員は19日の参院予算委で、避難計画は自然災害と原子力災害の複合災害に対応できず、「原子力災害対策指針に基づき避難計画が策定される。指針を見直すべきではないか」と糾したのに対して、規制委の山中委員長は「各自治体が地域防災計画を定める」と避難計画に責任を持たないことを明らかにしました。
また昨年8月に強行された汚染水の海洋放出は漁業者との約束を破るもので凍結を求めるとともに、福島県民だけでなく国民的な議論を行うよう求めました。
水産物の輸出減の損害賠償については「中国向け水産物が前年比29・9減」で「請求書発送が940件に対し、支払い件数が50件で53億円」(東電小早川智明社長の答弁)であることを確認しました。
岩淵議員は「ホタテの賠償が遅い」など漁業者からの訴えを示し「復興の軌道に乗り始めたときの海洋放出。精神的な賠償もしてほしい」と要求しましたが、小早川氏は「被害者の個別の事情に寄り添い対応する」と述べるにとどまりました。
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自然・原子力災害の教訓 避難計画は破綻 原発ゼロ決断求める
しんぶん赤旗 2024年3月20日
参院予算委 岩渕議員が追及
日本共産党の岩渕友議員は19日の参院予算委員会で、能登半島地震により北陸電力志賀原発(石川県)でトラブルが相次いだが、避難計画は自然災害と原子力災害の複合災害に対応できず、「避難計画は破綻している。これでは住民の命は守れない」と批判し、原発ゼロの決断を迫りました。
岩渕氏は今回の地震で大規模な隆起が起き、地震活動が「北陸電力が想定した96キロの範囲を超えることが現実に起きた」と指摘。「隆起や沈降が原発周辺で発生した場合どういう問題があるか」と迫りました。
原子力規制委員会の山中伸介委員長は「原子炉建屋などが設置された地盤の変形、排水ポンプの貯水性に影響が生じる可能性がある」と答弁。岩渕氏は「原発の安全性にとって極めて重大だ。想定外のことが起きれば対応は難しい」と批判しました。
岩渕氏は、東海第2原発の立地する茨城県東海村の山田修村長が「複合災害を含めれば(避難計画は)ゼロから検討するしかない」と見直しを主張していると指摘。「原子力災害対策指針に基づき避難計画が策定される。指針を見直すべきではないか」とただしました。山中氏は「各自治体が地域防災計画を定める」と無責任な姿勢を示しました。
能登半島地震では、原発事故が起きた場合に高齢者や傷病者などが一時的に屋内退避する放射線防護施設が損傷し、使えなくなりました。岩渕氏は「複合災害で避難もできず、実効性ある避難計画もない」と指摘しました。
新規制基準に避難計画が入っていないことを挙げ、「実効性ある避難計画がなければ再稼働を認めるべきではない」と追及。林芳正官房長官はまともに答弁せず、岩渕氏が「アメリカでは避難計画が認められなければ再稼働できない」と重ねて質問。斎藤健経産相は「しっかりとした緊急時対応がない中で再稼働が進むことはない」と強弁しました。
国・東電 海洋放出凍結を 岩渕氏「復興の努力台無しに」
しんぶん赤旗 2024年3月21日
参院予算委
日本共産党の岩渕友議員は19日の参院予算委員会で、東京電力福島第1原発事故から13年が経過し、多くの人がふるさとを奪われる中、同原発で昨年10月の汚染水による作業員の被ばく、今年2月の汚染水漏れとトラブルが相次いでいると指摘し、昨年8月に強行された汚染水(アルプス処理水)の海洋放出は漁業者との約束を破るもので凍結を求めるとともに、福島県民だけでなく国民的な議論を行うよう求めました。
岩渕氏は、国と東電が海洋放出の前提を「想定外の事態」を起こさないことだとしながら「今回の汚染水漏れはまさに、漁業者や福島県民の復興の努力を台無しにする重大な事態だ」と批判しました。
岩渕氏は海洋放出に漁業者や福島県民から怒りの声が上がっているとして、水産物の輸出実態を問いました。水産庁の森健長官は「中国向け水産物が前年比29・9%減だ」と明らかにしました。
さらに、海洋放出による損害賠償の実績をただすと、東電の小早川智明社長は「請求書発送が940件、支払い件数が50件で53億円だ」と答弁しました。
「できるだけ迅速かつ適切に賠償する」と述べた小早川氏に対し、岩渕氏は「復興の軌道に乗り始めたときの海洋放出。精神的な賠償もしてほしい」「ホタテの賠償が遅い」など漁業者からの訴えを示し、「切実な訴えだ。このような思いをどう受け止めるか問われている」と強調。小早川氏は「被害者の個別の事情に寄り添い対応する」と述べるにとどまりました。
岩渕氏は、地元の住民や研究者らでつくる福島円卓会議が「処理水」処分のあり方や復興と廃炉の両立について、県民や国民と、国や東電が対等に対話する場が必要だと呼び掛けていると指摘。「国と東電が勝手に決めるのではなく、海洋放出を凍結し廃炉、復興のあり方について議論を行うことを求める」と迫りました。