2024年3月9日土曜日

09- 能登半島地震で被災した志賀原発、北陸電が初公開

 北陸電力は7日、志賀町に立地する志賀原発構内を被災後初めて報道陣に公開しました。同原発は地震の影響で変圧器が故障し、送電線から電気を受ける外部電源の一部が今も使えない状況が続いています

 7日は配管が破損し絶縁油が漏出した2号機変圧器や、地震の強い揺れで冷却水があふれた使用済み燃料プールの貯蔵状況などが公開されました。燃料プールというからには建物内の機器類も公開したようです。
 ただ公開まで2か月余りを要したのは長すぎるので、その間に所内の設備・配管などの整備をしたものと推測されます。
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能登半島地震で被災した志賀原発、北陸電が初公開 外部電源の一部喪失
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北陸電力は7日、能登半島地震で最大震度7を観測した石川県志賀町に立地する志賀原子力発電所構内を被災後初めて報道陣に公開した。地震の影響で発電所内の変圧器が故障し、送電線から電気を受ける外部電源の一部が今も使えない状況が続いている。
志賀原発では1号機直下で震度5強を観測。7日は配管が破損し、絶縁油が漏出した2号機変圧器や、地震の強い揺れで冷却水があふれた使用済み燃料プールの貯蔵状況などが公開された。

外部電源は、2号機変圧器の故障で3系統5回線のうち1系統2回線が使えなくなった。復旧の見通しについて、公開後に取材に応じた北陸電の中田睦洋・原子力部長は「最大の課題。何か手はないか検討している」と述べた。
能登半島地震で志賀原子力発電所は、安全上の生命線とも言える外部電源の一部を喪失したが、重大事故には至らなかった。ただ、同原発の被害を巡っては、初動時の情報発信で北陸電力が訂正を繰り返したこともあり、臆測やデマが今も飛び交う。今回の公開は、被害実態を正しく伝えたい北陸電の狙いがある。

■訂正繰り返し
2号機タービン建屋のすぐ真横に、無数の冷却ファンがひときわ目を引く主変圧器がある。地震の影響で一部が破損し、大量の絶縁油が流出。発災直後、北陸電は変圧器から「爆発音と焦げ臭いにおいがする」と発表したが、現場調査の結果を踏まえ、後に「火災はなかった」と訂正した。
油の流出量についても当初、約3500リットルと発表したものの、その後約2万リットルに訂正。一部は海に流れ出ていた。
破損した冷却器は既に取り外され、現在は補修に向けて外側を覆うように足場が組まれる。だが、完全復旧に向けては交換部品の調達などに時間がかかり、北陸電は「8月以降になる」との見通しを示す。
志賀原発には2基の原子炉がある。1号機は平成5年、2号機は同18年に運転を開始したが、東京電力福島第1原発事故が起きた23年以降、運転を停止している。
出力の大きい2号機は、再稼働の前提となる審査に申請。敷地内にある断層が将来動く可能性のある活断層か否かの評価で審査は長期化している。原子力規制委員会は今回の地震で得られた知見も加味する方針を示し、審査はさらに数年単位でずれ込む公算

この日は、地震で破損し、油が流出した1号機変圧器や使用済み燃料を保管するプールも公開された。燃料プールは地震の強い揺れで水があふれ、1号機では冷却機能が一時停止。一方、5回線あった外部電源は変圧器の故障で2回線が使えなくなったが、現在は代替電源に切り替え、冷却機能は十分に維持できているという。

■正確な被害周知
ただ、インターネット上では初動時の情報発信で訂正を繰り返した北陸電側の情報を疑う声や、被害の実態とはかけ離れたデマが飛び交う。北陸電の担当者は「このタイミングでの公開は臆測ではなく、正確に被害の実態を知ってもらう狙いもある」と打ち明けた。
トラブル発生時の対応拠点として先月末まで運用した緊急時対策棟にも立ち寄った。運用時は約120人が24時間態勢で監視を続けた施設だが、今は誰もいない。大型モニターの下には監視に当たった運転員を励ます寄せ書き。柏崎刈羽原発の稲垣武之所長が寄せたメッセージもあった。
「事故を経験した者として大変さはよく分かります。1日も早く通常の日々が戻ることを祈念しております」(白岩賢太)