2024年3月27日水曜日

スクリーニング効果を検証へ〜福島県の甲状腺がんめぐり

 福島県の甲状腺評価部会は、これまで一貫して同県児童において他所より甲状腺がんが多く発生していることについて、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」と結論づけ、スクリーニング効果に拠るものと片付けてきました。しかしその客観的な証明はされていないことから、同部会は今後スクリーニング効果の影響について解析することを決めました。
 鈴木部会長は東京医科大学の筒井秀光教授「結論として、被ばく線量の増加に応じて、発見率が上昇するといった関係はないということか」との質問に対して、「小さな集団に区切っていくと、線量効果関係があっちに向いたり、こっちに向いたり、安定した結果ではなくなるから」と答えましたが、「小さな集団に区切れ」ばそうしたことが起きるは当然であって、相関関係は大きな集団で解析すべきものでしょう。
 いずれにしても今回実証的に確認することになったのは大きな前進です。
    注 文中の「コホート」は「同一の性質をもつ集団」のこと
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スクリーニング効果を検証へ〜福島県の甲状腺がんめぐり
              アワ― プラネット(Our Planet)TV 2024/03/25
福島県で実施されている甲状腺検査の結果を評価している甲状腺評価部会の第22回会合が福島市内で開かれ、今後、スクリーニング効果の影響について解析することが決まった

4回目の委員改選を迎えた甲状腺評価部会。保内郷メディカルクリニック医師の鈴木元氏が3期連続で部会長に就任した。前回の第21回目の会合で、先行検査から4回目検査までの解析を終え、「甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」と結論づけたが、検査5回目以降についても、引き続き基本調査をもとに算出した個人線量を用いたコホート内症例対照研究を継続することなどを決めた。

「どのような結果が出るかは2年後のお楽しみ」鈴木部会長
東京医科大学の筒井秀光教授がコホート内症例対照研究について、「結論として、被ばく線量の増加に応じて、発見率が上昇するといった関係はないと(いうことか)」との質問したのに対し、鈴木部会長は「小さな集団に区切っていくと、線量効果関係があっちに向いたり、こっちに向いたり、安定した結果ではなくなります。一番原因としてあるのが、先行調査の時とそれ以降で、細胞診の率が違っている。」「ただこれから症例が増え、がん登録症例も増えていくと、先行調査での細胞診の率などは中和され、より安定した解析にはなると期待している。」とした上で、「どういう結果がでるかは2年後のお楽しみ」と述べた。

今回、新たに提案されたのは、スクリーニング効果に関する検証だ。5歳ごとのがんの発見率と全国がん罹患統計を比較して、スクリーニング効果の影響を見ることが提案され、今後、取り組んでいくことになった。また手術時の腫瘍径や局所転移の有無、年齢、性別等をもとに分析し、「再発なし生存曲線」などを示すことなども提案された。またUNSCEAR 2020/21年報告書で公表された市町村別推計甲状腺吸収線量を用いた横断調査は行わないことや、がん登録と年齢を統一させる方針が確認された。

評価部会に非公式な事前WEB会議
また鈴木部会長から提案された議題として、公開されている評価部会とは別に、その事前準備として、非公式のWEB会議を開催することが提案され、了承された。開催の理由について、県の県民健康調査課は、医大の解析方法に間違いがないように事前に話をし、打ち合わせをする場」だとしている。「県民健康調査」検討委員会をめぐっては、秘密裏に非公開の事前会議を開催し、事前に意見の擦り合わせをしていたことが報道され、大きな問題となった