2013年4月15日月曜日

福島原発はいま危機的な状況

 
 14日付記事「福島原発からの放射能の放散は今後もずっと続く」で、福島原発からの放射能の漏洩が海外からも注目されていることを紹介しましたが、非常時(汚水の除染装置が停止したとき)用に高濃度汚染水を貯蔵できるタンクの7割がすでに満杯であることが明らかになりました。
         ※ http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/2013/04/blog-post_14.html

 現在の貯蔵可能残量は僅かに2800トンで、これは1日に400トン発生する高濃度汚染水の1週間分に過ぎません。汚水の除染が1週間停止すれば建屋地下の高濃度汚染水=核燃料に接触している水=をまた海に放出せざるを得ないことになります。

 その場しのぎの繰り返しではこういう事態に至るのは明らかなことで、東電の対応を見ているとひたすら当面の対応に追われるのみであり、それとは別に(長期的な観点から)根本的な解決策を検討する部署(機能)を持っていないように見えるのは不思議なことです。
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福島第一 非常用タンク7割満水
東京新聞 2013年4月14日
 東京電力福島第一原発で、高濃度汚染水の処理ができなくなる移送先タンクの七割が、すでに満水で使えなくなっていることが分かった。東電は問題ないと強調するが、今月発覚した地下貯水池の水漏れ事故によって汚染水処理計画が破綻し、電源設備にも不安が残ることが明確になったいま、非常用タンク1000トンの仮設鋼板製タンク?を安易に捨て去った東電の危機管理には疑問が残る。 (山川剛史)

 容量約一万トンと、小学校のプールにすると二十杯分の非常用タンクは、4号機南側の高台にある。高濃度汚染水はおびただしい放射線を放つため、タンク本体は地中に埋め、内部に水素がたまらないよう排気する配管も備えている。
 原子炉建屋地下は、毎日四百トンのペースで高濃度汚染水が増えている。非常用タンクは、除染装置が使えなくなり、あふれそうになった場合、緊急に移送するため造られた。
 東電は、昨夏の時点では「このタンクの大半は必ず空けておく」と本紙の取材に答えていた。その後、除染装置がフランス製の一系統のみから、米国製と日本製が加わって三系統に増え、長期にわたり汚染水処理が途絶える事態は起きないと判断。処理後の水をためるタンクが乏しくなってきたこともあり、一万トンのうち七千二百トンを処理水の貯蔵に使い始めたという。
 当初の空き容量一万トンがあれば、万が一の場合でも一カ月近くは余裕がある。しかし、現在の容量は三割弱の二千八百トンにまで減っている。これでは一週間分の除染停止しかカバーできない。
 東電の担当者は「現在、建屋地下の汚染水の水位は十分低い。除染装置が三つとも使えなくなったとしても、建屋内に空き容量があるため、一カ月ほどは大丈夫」と強調する。
 ただ、三月には仮設電源盤にネズミが入り込んで同時多発的な停電が発生。使用済み核燃料プールの冷却のほか除染装置の一つも停止した。
 さらに現在、発生中の地下貯水池の水漏れ事故で、池の水を全て地上タンクに移すことになり、タンク事情はさらに悪化。もし増設が追いつかなければ、除染装置自体は動くのに、処理した水の行き場がないため稼働できない事態も十分あり得る。こうした状況が長引けば、建屋地下の高濃度汚染水がまた海に漏出する恐れが出てくる。

原発汚染水の地上タンク移送延期 安全確認のためと東電
東京新聞 2013年4月14日
 東京電力福島第1原発の地下貯水槽から放射性物質に汚染された水が漏れた問題で、東電は14日、地下貯水槽から地上タンクへの汚染水の移送を延期すると発表した。移送に使う配管の設置に数日程度かかるためとしている。

 東電は地下貯水槽の汚染水全量を地上タンクに移す方針で、14日は、最初に大量の漏えいが見つかった2号貯水槽からの移送を始める予定だった。別の貯水槽間の汚染水移送で漏えいトラブルが起きたため、安全性の確認に時間をかけるという。  (共同)