2021年2月4日木曜日

原発避難者訴訟、名古屋高裁で初弁論

 福島県から愛知、岐阜、静岡各県に避難するなどした41世帯126人が、東電と国に慰謝料などの賠償を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が1日、名古屋高裁であり、名古屋市に避難した岡本早苗さん(42)は、「1企業の利益追求を優先し、国民の命と健康、安全を軽視した国の責任をなかったという、地裁判決は到底受け入れられない」と涙ながらに意見陳述しました。

 住民側は1審の名古屋地裁が東電に命じた賠償額に加え、国と東電に計約4億3670万円の支払いを命じるよう求めました。
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原発避難者訴訟、名古屋高裁で初弁論 住民側「地裁判決は到底受け入れられない」
                          毎日新聞 2021年2月1日
 東京電力福島第1原発事故(2011年3月)で福島県から愛知、岐阜、静岡各県に避難するなどした41世帯126人が、東電と国に慰謝料などの賠償を求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が1日、名古屋高裁(倉田慎也裁判長)であった。住民側は「国には責任がある」と主張し、1審の名古屋地裁が東電に命じた賠償額に加え、国と東電に計約4億3670万円の支払いを命じるよう求めた。東電と国はともに控訴棄却を求めた。

 弁論では、子どもの健康を心配して福島県伊達市から名古屋市に避難した岡本早苗さん(42)が意見陳述した。愛知県出身の岡本さんは震災前を「4人の子どもに加えて1人を身ごもっており、平穏に暮らしていた。福島になじみ、大変だった子育ても楽しくなっていた」と振り返った。その上で「国は原発の安全規制をする唯一の存在で、電力事業者を止めるすべがあった。一企業の利益追求を優先し、国民の命と健康、安全を軽視した国の責任をなかったという、地裁判決は到底受け入れられない」と涙ながらに訴えた。

 19年8月の名古屋地裁判決は「津波の予見可能性は認められる」としたが「東電に規制権限を行使したとしても、津波による電源喪失は回避できたと認められない」とし、国への請求を退けた。一方、原告の個別事情に応じて自主避難の合理性を一部認め、109人に計約9600万円を支払うよう東電に命じた。【井口慎太郎】