2021年2月6日土曜日

しがみつく原発マフィア トランプ支持のカルト団体みたい

 中村敦夫氏の辻説法「しがみつく原発マフィア トランプ支持のカルト団体みたい」を紹介します。

 原発「安全」でなく、発電単価は「安価」でなく、原発がなくても電力は不足しないということになれば、原発の存在価値はありません。
 そこで考え出されたのが、プルトニウムを特別な高速増殖炉で燃やすと燃やした以上の新しいプルトニウムが生まれるという「核燃料サイクル」です。
 軽水炉が水を冷却材に使うのに対して、高速増殖炉では液体ナトリウムを使う必要がありますが、液体ナトリウムは空気に触れると発火し水に触れると爆発するので、危険すぎてまともに取り扱うことは出来ません。
 そのため世界中が高速増殖炉から撤退した中で、日本だけは撤退せずに取り組んできました。しかし1兆円余りを投じたにもかかわらず結局成功せずに、先年ようやく撤退することが決まりました。

 そうなればもはや原発にこだわることの正当性は何もありません。ところが日本には経産省を先頭に「原発にしがみつく勢力」=「原発マフィア」が存在し、国政、行政、産業界、学会、マスコミに巣くっているという不思議な物語です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
中村敦夫 末世を生きる辻説法
しがみつく原発マフィア トランプ支持のカルト団体みたい
                         日刊ゲンダイ 2021/02/05 
 来月で、福島原発事故から10年が経つ。
 原因究明も中途半端なのに、避難民は支援金を打ち切られ、20ミリシーベルト以下の汚染地へ、帰郷せよと迫られている。国際基準の数値は、1ミリシーベルト以下だというのにだ。
 メルトスルーして地下に潜り込んだデブリは放置されたままだし、汚染水も流れっ放し。
 たまる一方の核廃棄物にしても、処分する方法も場所も未定だ。
 原発は「安全」「安価」の2本柱で推進されてきたが、今ではどちらも真っ赤なウソだと証明されている。ついでに、3つ目のウソも付け加えれば、「原発がないと電力が足りない」というデマだ。これは電力需要量と供給量のグラフを見れば一目瞭然。電力はいつも、原発の発電量分だけ余ってきた

 それでも原発にしがみつき、再稼働を策謀するグループがいる。論理性、科学性を無視して突進する姿は、トランプ支持のカルト宗教団体のようだ。
 宗教団体なら名義と教義が必要だ。名義は「オウム原発真理教」、教義は「核燃料サイクル」というところか。「サイクル」とは、日本はエネルギー資源がないので、原子力を利用すべきという信仰だ。ウランを普通の原子炉で燃やすと、3種の核燃廃棄物が出現する。プルトニウム、ウラン、高レベル放射性廃棄物だ。
 さて、この中のプルトニウムだけを分離し、特別な高速増殖炉で燃やすと、さらに新しいプルトニウムが生まれるという。最初のウランがあれば、永遠に核燃料が手に入る!
 こんなことが可能になるはずだった高速増殖炉の名が、他ならぬ「もんじゅ」だった。
 そして、大量のプルトニウム分離を目指していた大型処理施設が、青森県六ケ所村の再処理工場。この2つがセットで稼働することで「サイクル」が起動する
 ところが、押しても引いても「もんじゅ」は動かない。揚げ句、大事故隠蔽がバレて、その後は修理に20年かかった。1日の経費がなんと5500万円! 一度も動かず、1兆円を使ったところで、廃炉が決定
 六ケ所村も、故障続きでまともに動かない。分離したプルトニウムが増え続けても、もんじゅがなければ使い道もない。それでもカルト信者たちは、新型「もんじゅを造れ」などと叫び続けている。
 彼らは別名「原発マフィア」と呼ばれ、国政、行政、産業界、学会、マスコミに巣くっている