2026年4月9日木曜日

「重大性を認識していない」浜岡原発データ不正問題発覚から3か月余り 地元との信頼関係も揺らぐ

 浜岡原発のデータ不正問題が発覚してから3月余が経ち、不正の経緯などはそれなりに明らかになりつつありますが、肝心の真正の「基準地震動」がいくつで1200ガルをどれほど上回っているのかについてはまだ究明されていません。
 専門家は「徹底した調査と情報公開が必要」と指摘し、山中伸介・規制委員長は「我々がほしいデータがなかなか手に入っていない。中部電力には誠実に対応して頂ければと思っているところです」と述べます。
 中部電力は外部の有識者による「第三者委員会」をつくって調査を始めましたが、「独立性」を理由に調査の進捗すら把握していないと「待ち」の姿勢を強調します。しかし調査の期限について希望を呈示するのは当然のことで、それをしないことが問題を長引かせている一因とも指摘されています。
 不正の手法がある程度分かった以上、並行して真正の「基準地震動」を求める作業を始めるべきでないでしょうか。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「重大性を認識していない」浜岡原発再稼働をめぐる中部電力のデータ不正問題発覚から3か月余り 専門家は厳しく指摘...地元との信頼関係も揺らぐ
                        静岡放送(SBS) 2026/4/8
静岡県御前崎市にある浜岡原発の再稼働をめぐり、中部電力のデータ不正問題が発覚してから3か月余り。
いまだ原因究明に至っておらず、地元関係者との信頼関係が揺らぐ中、専門家は「徹底した調査と情報公開が必要」と指摘しています。
<原子力規制委員会 山中伸介委員長>
事実確認が十分できていないというところで、我々がほしいデータがなかなか手に入っていない。中部電力には誠実に対応して頂ければと思っているところです」
浜岡原発のデータ不正問題で原子力規制委員会の山中委員長は4月8日の会見で中部電力に改めて注文を付けました。
御前崎市にある浜岡原発の再稼働審査をめぐっては、中部電力が耐震設計のデータを不正に操作して地震の揺れを意図的に小さくみせた疑いが発覚しています。
<中部電力 林欣吾社長>
「方法(1)は遅くとも2012年頃から2021年頃に105ケースで行われていた
中部電力が3月末、原子力規制員会に提出した報告書によりますと、データの不正は再稼働審査に提出した225ケースのうち、少なくとも108ケースに及ぶとされます。
不正は遅くとも2012年以降に始まり、2018年に内部通報があったにもかかわらず、2021年まで繰り返し行われたということです。
<中部電力 林欣吾社長>
「当社と独立して徹底してやっていただいていますので、具体的な審査の内容、スコープ(範囲)、スケジュール等には一切知らされておりません」
中部電力は、外部の有識者による「第三者委員会」をつくって調査を始めましたが、「独立性」を理由に調査の進捗すら把握していないと主張します。
この「待ち」の姿勢が、問題を長引かせている一因とも指摘されています。

浜岡原発が立地する周辺地域の市長はー
<牧之原市 杉本基久雄市長>
「ただ2012年から(不正があった)というのは、これは非常に遺憾というか残念というか、そういう体質がずっとあったのかというところが、大きく信頼を失ったというふうには思っていますね」
原子力政策に詳しい専門家は、中電側の主体的な対応が不可欠とみています。
<龍谷大学 大島堅一教授>
「明らかになっていない事実は、まだ確定していないと書かれているので、少なくともそこについては徹底して社内で内部調査すべき
原子力規制委が「不正」と断じているにもかかわらず、いまだに「不適切事案」と表現している中電についてはー
<龍谷大学 大島教授>
「いまだに不適切事案と言っている事自体が問題で、データを明らかに改ざんしているわけで重大性を認識していない」
不正の事実確認が進まず、停滞が続いている浜岡原発の再稼働審査。信頼の回復には中部電力の主体的な取り組みが求められています。


【浜岡原発】中部電力による再稼働審査向けデータ不正操作問題受け原発周辺7市町の新組織が発足(静岡)
                           Daiichi-TV 2026/4/8
浜岡原発を巡る中部電力のデータ不正問題を受け、周辺7つの市と町が中電への対応を協議する新たな組織を設置しました。
3月30日の初会合には、浜岡原発から半径31キロ圏内にある7つの自治体の市長と町長が集まりました。
浜岡原発を巡っては再稼働に向けた審査で中部電力がデータを過小評価した疑いが発覚し、原子力規制委員会は審査を「停止」しています。
会議では、今後の中部電力への対応について話し合われました。
(磐田市 草地 博昭 市長)
「原子力発電所の事故や不測の事態に対して不安な思いを抱いてはよろしくないので、何かあった時には対応していかなくてはいけないという心合わせはできたと認識している」
周辺7市町は、今後、意見を集約し、国や中電への要望活動を行う方針です。


社説:報告者に浮かぶ長年の病巣 中部電の原発不正
                            京都新聞 2026/4/7
 長年にわたって原発の安全を不正で繕い続けた無責任さに、あぜんとする。
 1月に浜岡原発(静岡県)で発表した耐震設計に関わる不正を巡り、中部電力が原子力規制委員会に提出した報告で、データ操作は、遅くとも東日本大震災の翌年、2012年ごろに始まったと明らかにした。
 東京電力福島第1原発事故で起きた過酷事故への反省も、強化された安全規制にも背いていた
 不正事例は100を超えており、常態化する中で、自浄能力も働かなかったことに組織的な病巣を見ざるを得ない。
 中部電は調査を継続中とし、別に弁護士らの第三者委員会や、規制委も調べている。徹底した全容解明を求めたい。
 報告書によれば、想定される最大の地震の揺れ「基準地震動」を平均値で決めたとしながら、実際は恣意(しい)的に逆算し、過小評価した可能性があるという。耐震設計が根底から覆されることになる。
 不正の行為者、関与者の具体的な範囲は確定できておらず、不正を行った動機も分かっていないという。
 中部電は基準地震動策定に関する業務計画を作っておらず、記録のない部分もあるとしている。
 中部電内では、不正を問題視する声が度々あり、20年ごろには、内部通報も寄せられたが、是正につながらなかった。経営陣をはじめ、組織的な関与はなかったのか。
 長期にわたり、安全対策工事での代金未払いといった不祥事も相次ぐ。中部電に、原発の安全運転を担う倫理観が欠如していることは明白である。
 こうした核心部分にメスを入れずして、うやむやにすることは許されまい。
 規制委が10年を超える不正を見抜けなかった点も見過ごせない。新規制基準下の審査に対する信頼は大きく揺らいでいるといえよう。データの根拠の再確認が必要ではないか。
 不正の発覚後、他の電力各社は「適切な対応を確認した」としているが、自己申告でよいのか検討してもらいたい。
 規制委は今月、原発へのテロ攻撃に備える「特定重大事故等対処施設」を巡り、設置期限の延長を決めた。
 5年の猶予期間の起算点を、原発本体の設計・工事計画の認可から、営業運転開始に遅らせ期限を延ばす決定だ。
 原発再稼働に前のめりな政府や、事業者に迎合するかのように映る。規制当局が推進側の意に沿い続け、過酷事故につながった過去を改めて思い起こさねばならない。
 イランやウクライナの戦闘でも、原子力関連施設付近が攻撃されている。未完成でも運転を認めるのは「安全神話」ではないか