高知新聞が浜岡原発1、2号機の廃炉作業の費用請求で不適切な手続きを行ったという不正が発覚したことを巡り、掲題の社説を出しました。
浜岡原発を巡っては他にも重大な不祥事が相次いでいて、今年1月、3、4号機の再稼働審査を巡り、耐震設計に関わるデータを不正に操作していたことが発覚し、再稼働に向けた安全対策工事でも、正式な契約変更や精算手続きを行わない不祥事があり、取引先への未精算額が数十億円に上ることが判明しています。
高知新聞は、背景には都合の悪い情報を抱え込みがちな原子力部門の体質が挙げられるとする一方で、それによって不正が見つかりにくくなることは決してあってはならないので、経営陣は改めてその責任の大きさを自覚し、構造的な問題を洗い出して抜本的な組織改革を進める必要があると指摘します。
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社説【浜岡廃炉費不正】企業統治の立て直し急げ
高知新聞 2026.09.07
失われた信頼の回復が再び遠のいたと言わざるを得ない。中部電力浜岡原発(静岡県)で新たな不正が発覚した。1、2号機の廃炉作業の費用請求で不適切な手続きがあった。
同原発では耐震設計に関わるデータ不正も先に明らかになっており、事態は深刻さを増している。徹底的な原因究明はもちろん、ガバナンス(企業統治)の早急な立て直しが求められる。
廃炉にかかる費用は、電力会社が経済産業省の認可法人「使用済燃料再処理・廃炉推進機構」にあらかじめ納めた拠出金の中から、工事の進捗(しんちょく)に応じた請求に基づいて支払われる仕組みとなっている。
2基は2009年に運転を終え、40年代前半までの廃炉完了を目指して作業を進めている。不正が発覚したのは24年度分で、14件の書類で実績と異なる数値を記す改ざんがあった。工事の請負会社から受け取った報告書の写しについて、解体した物量や機器などを書き換えていた。
少なくとも浜岡原発内の廃止措置計画課の複数人が関わり、昨年3月末から同5月末の間に行われたとみられる。結果的に過大な受領となっていたかどうかは確認中というが、不正があったのは約8億円に上る。
今回の不正について中部電は、原発の安全性に直接的な影響はないと説明する。しかし問題はその点ではなく、高い倫理観と透明性が求められる原発で、当たり前のように不正が繰り返されることだ。
浜岡原発を巡っては、重大な不祥事が相次いでいる。
今年1月、3、4号機の再稼働審査を巡り、耐震設計に関わるデータを不正に操作していたことが発覚。原子力規制委員会の調査が始まった後もデータ操作を続けていた。
再稼働に向けた安全対策工事でも、正式な契約変更や精算手続きを行わない不祥事があり、取引先への未精算額が数十億円に上ることが判明している。
背景には、都合の悪い情報を抱え込みがちな原子力部門の体質が挙げられる。
耐震データ不正では、外部通報を受けた規制委が昨年5月に事実関係を問い合わせていたにもかかわらず、社長が事態を把握したのは半年以上たった後だったという。安全対策工事の未精算問題でも、原子力部門の役員が取締役会への報告を長期間怠っていた。
今回の書類改ざんも部長らが報告を受けたのは今年8月中旬だった。中部電は「計画通りの数値にしたいという意図があった」と説明している。計画と報告の内容がずれることによる社内外での調整業務を嫌った可能性などが指摘される。
原子力部門は専門性の高さから閉鎖的になりやすく、不正が見つかりにくいとされる。企業体質の改善が急がれる。
原発事業者としての資質が一段と問われている。経営陣は改めてその責任の大きさを自覚し、構造的な問題を洗い出して抜本的な組織改革を進める必要がある。