福島原発第1、第2を除いて、震災後に廃炉が打ち出された原発は11基に上り、全国に57基ある原発のうち、廃炉の決定または方針が打ち出されたのは4割の24基に上ります。
政府は、依然として2030年に電源比率の20〜22%を原子力で賄う目標を掲げていますが、業界関係者は「廃炉が進む中での目標堅持は難しい。原子力の今後のあり方について国民的な議論が必要だ」と話しています。
そもそも経産省が15年に示した「2030年のエネルギーミックスを原発20〜22%とする」方針は放埓なもので、原発依存度をできるだけ低減し再エネを最大限導入するとした公約に反します。それはひたすら「原子力ムラ」の願望を謳っただけものなので、原発の再稼働と運転延長を「過大に想定」しなければ実現できないとして、制定の当初から批判されていたものでした。
政府はそれを無理やり合理化するために「原発低コスト」を示す虚偽の数字を並べ立てましたが、3年後の今日、そんな数字を信用する人は誰もいません。原発は急速に化けの皮がはがれつつあります。原発依存度をできるだけ低減し再エネを最大限導入するという政権発足時の精神に立ち返るべきです。
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廃炉、原発全体の4割 計24基、政府目標に暗雲
時事通信 2019年2月13日
九州電力が13日、玄海原発(佐賀県玄海町)2号機の廃炉を決めた。これで全国に57基ある原発のうち、廃炉の決定または方針が打ち出されたのは4割に相当する24基に上った。安全対策費が膨らんだ結果、稼働から30年を超えた老朽小型炉は採算のめどが立ちにくい。
廃炉が相次ぐ中、再稼働はなかなか進まない。政府は2030年に電源比率の20〜22%を原子力で賄う目標を掲げるが、業界関係者は「廃炉が進む中での目標堅持は難しい。原子力の今後のあり方について国民的な議論が必要だ」と話す。
政府は、11年の東京電力福島第1原発事故後、安全審査基準を厳格化。直近では東北電力の女川原発(宮城県石巻市、女川町)1号機や、四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)2号機の廃炉が決まった。福島第1、第2を除いても、震災後に廃炉が打ち出された原発は11基に上る。
現時点で再稼働している原発は9基だけ。政府目標は30基前後の再稼働が前提とされているが、そのためには停止中の24基の大半を再稼働させることが必要だ。だが、地元自治体との調整は容易ではない。業界内には定期点検短縮によって稼働期間拡大を求める声もあるが、実現性は未知数。さらに原発の新規建設や建て替えも、めどは立っていない。