福島原発廃炉最高責任者の小野明氏へのインタビューで、同氏は放射性物質トリチウムを含む処理水の保管について、あと2年ほどで東電が限界容量とする137万トンに達する見込みなので、「何らかの形で処理・処分を考えなければならない」と述べました。
具体的には希釈して海洋放流するというのが、国、東電、規制委の共通した意向なのですが、そもそも放射性物質を希釈して放流すること自体が「禁じ手」ですし、総量1000兆ベクレルのトリチウム水を放流することは海洋の汚染を防止する「ロンドン条約」に反します。
昨年8月の処理水に関する公聴会で、海洋放出に反対し、タンクでの長期保管を求める意見が相次いだのは当然のことでした。
トリチウムの半減期は12・3年なので、その10倍の123年間保存すれば放射能は1024分の1に減衰します。
タンク敷地が満杯になるからというのが東電のいい分ですが、7号機・8号機用の空き地など敷地はいくらでもあります。
そもそもトリチウム汚染水が現在も増え続いている原因は、国費3百数十億円を投じた凍土遮水壁の止水が不完全なためなので、東電はタンクの製作費が負担だなどとは言えた義理ではありません。今後百年以上タンクを作り続けるのが嫌であれば、凍土壁を完全なものにすることです。
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トリチウム含む処理水「処分必要」 東京電力、2年で保管限界
福島民友 2019年2月24日
東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は原発事故から丸8年を前に、福島民友新聞社のインタビューに応じた。第1原発構内のタンクで保管が続く放射性物質トリチウムを含む処理水について「(タンクを造る)敷地には限界があり、何らかの形で処理・処分を考えなければならない」と述べ、将来的には処分が必要との見解を示した。
処理水の取り扱いについて、国の小委員会で議論されているが、結論は出ていない。処分に伴う風評被害を懸念する県内漁業関係者を中心に長期保管を求める声がある中で、敷地の状況などを踏まえ、現状での保管には限界があることを東電側が示した形だ。
現在の処理水の貯蔵量は約100万トンで、東電が保管計画の容量とする137万トンに2年ほどで達する見込み。小野氏は「それ以降の計画は今のところ持っていない」とした上で「小委員会や国の方針でタンク建設を求められれば貯蔵を考えなければいけないが、敷地に限界があるのは事実。ずっとタンクを造り続けることが本当に合理的かというのは少し違うと思う」と述べた。
処分方法を巡っては科学的な安全性を踏まえ、原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長が希釈した上での海洋放出が「合理的」との見解を示すが、反対意見は多い。小野氏は処分方法については言及せず「(事故)責任者として口を出せるところではなく、国の小委員会で議論いただき、最終的な国の方向性を待つ」と話すにとどめた。ただ「方向性が出た後は、私たちが具体化していく。当然、地元や関係者と相談しながら進めることになると思う」と語った。
昨年8月の処理水に関する公聴会ではトリチウム以外の放射性物質も含まれていることに批判が噴出。海洋放出に反対し、タンクでの長期保管を求める意見が相次いだ。このため小委員会は処分方法の検討に加え、長期保管の可能性についても議論する方針を示している。