県議会で住民投票条例が審議されている中、宮城県内自治体首長の意見は割れています。
河北新報が報じました。
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<女川再稼動> 宮城県内自治体、割れる反応
立地自治体は賛否を明らかにせず
河北新報 2019年02月24日
東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働の是非を問う住民投票条例案を巡り、県内の自治体の反応が分かれている。立地自治体などは条例案への賛否を明らかにせず、一部の首長が賛意を示した。条例制定に消極的な知事意見に反発の声もあり、多くが県議会2月定例会の審議の行方を注視する。
過去に産業廃棄物施設を巡る住民投票を実施した経緯がある白石市。山田裕一市長は「広く県民の意見を聞く機会があるのは良いこと。エネルギー政策は国策だからと地方が何も言えないのなら、分権時代に逆行する」と条例可決を望む一人だ。
一方、立地自治体の女川町の須田善明町長と石巻市の亀山紘市長は「県議会が判断すること」と説明。東北電の大口株主でもある仙台市の郡和子市長も「県議会の判断であり、コメントは差し控える」と賛否を示さなかった。
直接請求された約11万人の署名は、県内全域での関心の高さを裏付ける。賛否を言及していない加美町の猪股洋文町長も「県議は署名の重みを受け止める必要がある」と指摘する。
ただ、首長の立場として「地域課題の解決に住民投票が多用されてしまう懸念がある」(県央の首長)ことも、賛否の言及を控える一因のようだ。
条例案に付ける村井嘉浩知事の意見は、賛否のみの投票は多様な意思が反映できないと指摘した。
24日投開票の沖縄県米軍基地移設の是非を問う住民投票のように「どちらでもない」との選択肢を求める声もある。県南の首長は「賛否を判断できない人の選択肢も必要。単純な賛否だと原発は怖いといった感情的な判断になってしまう」と推測する。
これに対し、女川原発30キロ圏内に入る美里町の相沢清一町長は「『どちらでもない』があると、執行者の都合で結果を勝手に解釈できる。県民の意思表示をうやむやにしてはいけない」と2択を支持する。
気仙沼市の菅原茂市長は、東京電力福島第1原発事故の汚染牧草などの対応で関連自治体が住民理解を得るのに苦慮する現状を指摘した上で、「汚染廃棄物も原発も理解が深まりにくい。投票を実施することになれば、県民に知ってもらう情報と時間を担保する難しさはある」と話す。