福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ120m)の解体作業が、上半分を23段に分けて切断する工程のうち11段目(計41m)までを終えました。4段目の解体ではカッターの刃が筒身にかみ込んで抜けなくなり、作業員が人力での切断を強いられましたが、その後は順調に進み完了は5月上旬を見込んでいるということです。
排気塔の底部に強烈な放射能の発信源があるため、約200m離れた遠隔操作室で解体装置を操っているということです。鋼板製の筒内にあってもそれだけ離れる必要があるということは相当強力なもので、核燃料の一部ではないかという説もあります。
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排気筒12段目の解体進む 第1原発視察、5月完了に向け折り返し
福島民友 2020/2/21
東京電力福島第1原発事故から丸9年となるのを前に、本紙記者が20日、第1原発を視察した。1、2号機の共用排気筒(高さ120メートル)では解体作業が進み、上半分を23段に分けて切断する工程のうち、同日までに11段目(計41メートル)までを終えた。5月上旬を見込む解体の完了に向け、折り返しとなる12段目の作業が進んでいる。
作業は広野町の建設業「エイブル」が担当。排気筒の周辺は現在も放射線量が高く、4班編成の作業員が約200メートル離れた遠隔操作室で解体装置を操り、解体を進めている。20日は、排気筒近くの高台で装置の準備作業が行われ、作業員が今後の工程に備えていた。
作業は昨年3月に開始予定だったが、解体装置の改造やクレーンの高さ不足で同8月に遅れた。着手後も解体装置の不具合で度々中断し、完了目標は当初の19年中からずれ込んだ。筒身と周囲の鉄塔を切るため作業量が多く、「最難関」とされた4段目の解体では、刃が筒身にかみ込んで抜けなくなり、作業員が人力での切断を強いられた。
4段目の解体完了後は目立ったトラブルがなく作業は推移。原発事故前の10年から本県に住み、作業班の班長を務める須貝学さん(42)=青森市出身=は「青森の親戚や友人と話すと、県外は今でも福島を不安視していてモヤモヤする。廃炉作業を順調に進めることで全国に福島の復興を発信したい」と話した。
排気筒は、水素爆発の影響で地上から60メートル以上の支柱などに損傷が複数判明。現段階でも倒壊の恐れはないが、より危険性を下げるために解体している。