福井県にある大飯原発電3・4号機の運転を止める仮処分を求めた訴訟の二審で、大阪高裁は申し立てを退ける決定を出した件について、NHKが詳細な記事を出していますので詳報として紹介します。
この件についての当方の所感等については下記に示しましたのでご参照ください。
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大飯原発の運転差し止め求めた仮処分認めず 大阪高裁
NHK NEWS WEB 2020年1月30日
福井県にある関西電力・大飯原子力発電所の3号機と4号機の運転を止めるよう、京都府の男性が求めた仮処分について、大阪高等裁判所は申し立てを退ける決定を出しました。
福井県おおい町にある大飯原発3号機と4号機について、隣接する京都府南丹市の男性は3年前、「巨大地震に対する安全性を欠いている」として運転しないよう求める仮処分を大阪地方裁判所に申し立てましたが、去年3月に退けられたため、大阪高等裁判所に即時抗告していました。
改めて行われた審理では、大飯原発で想定される最大規模の地震の揺れ、「基準地震動」の大きさを算出するのに使われた計算式の信頼性が焦点になりました。
30日の決定で、大阪高裁の山下郁夫裁判長は「実際に起きた4年前の熊本地震の解析で計算式の信頼性は裏付けられており、この計算式を用いることが安全性の基準として現在の科学的・技術的知見に照らして合理性を欠くとはいえない」として、男性の申し立てを退けました。
大飯原発3号機と4号機は、原子力規制委員会の審査に合格して、おととし再稼働し、営業運転が行われています。
仮処分申し立てた男性「廃炉まで戦い抜く」
大阪地裁に続き、大阪高裁でも原発の運転停止を認めない決定が出たあと、仮処分を申し立てていた児玉正人さんが裁判所の前に集まった支援者に向かって「不当決定!司法は市民の命を守れ!」と書かれた紙を示すと、「不当決定許せない」などとシュプレヒコールがあがりました。
児玉さんが「あまりにもひどい。全く理解できない。絶対に諦めず、廃炉まで戦い抜く」と話すと、支援者たちから拍手が起きていました。
弁護団「権力寄りの決定」
大阪高裁の決定を受けて、仮処分を申し立てた児玉正人さんと弁護団が記者会見をしました。
この中で児玉さんは「即時抗告のあと、高裁はたった1回の書面の審査だけしか行わず、一切こちらの声を聞かずに結審した。非常に不可解で不合理だ。ただこの決定ですべては決まらない。ひるむことなく戦う」と述べ、今後については弁護団と協議するとしました。
また、河合弘之弁護士は「原子力の権威ともいえる2人の学者の主張を論拠に戦ってきた。しかし、裁判所は、ものの見事に権威を切り捨て権力にすり寄る決定を出した。裁判所は権力の言いなりになって私たちを負かした」と話していました。
関西電力「妥当な結果」
今回の決定について、関西電力は「当社の主張を裁判所に理解いただいたもので、妥当な結果と考えている。引き続き大飯原発3、4号機の安全性・信頼性の向上に努め、運転・保全に万全を期していく」とコメントしています。