福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を巡り、福島県内の21市町村議会が海洋放出に反対したり、処分方法を慎重に検討するよう求める意見書を24日までに可決しました。
このうち13市町村議会が「関係者の理解を得られていない放出を行わないこと」などと海洋放出に反対を表明し、残りの8市町村議会は海洋放出に対する賛否を示さなかったものの、慎重な対応を取るよう求めました。
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海洋放出、13市町村議会「反対」 福島第1原発・処理水意見書
福島民友ニュース 2020年7月25日
東京電力福島第1原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含む処理水を巡り、県内の21市町村議会が海洋放出に反対したり、処分方法を慎重に検討するよう求める意見書を24日までに可決した。新たな風評被害を懸念する議会が多く、処分方針を決定する政府には、具体的な風評対策を示す対応が求められそうだ。
政府小委員会は2月、国内外の実績などを踏まえ、処理水を薄めて海に流す海洋放出が最も現実的だとする報告書をまとめた。東電は原発敷地内の保管タンクは2022年夏にも満杯になると試算。準備に約2年かかるため、逆算すれば今夏から今秋ごろが方針決定の期限との見方が関係者の間で広がっている。
21市町村議会は報告書を受け、3~7月に処理水に関する意見書などを可決。このうち13市町村議会が「関係者の理解を得られていない放出を行わないこと」(相馬市議会)などと海洋放出に反対を表明、多くが保管継続やトリチウムを分離する技術開発を求めた。「被害者である県民の意見を聞く公聴会の開催」(石川町議会)とする内容もあった。漁港がある相馬市や浪江町などの沿岸部に限らず、郡山市や喜多方市など内陸部の議会も反対した。
残りの8市町村議会は海洋放出に対する賛否を示さなかったが、「新たな風評被害を助長させないこと」(会津若松市議会)「幅広い関係者から丁寧に意見を聴取」(鮫川村議会)などとし、慎重な対応を取るよう求めた。県議会も、3月に風評対策の強化と併せて処分方法を示すよう求める意見書を可決している。
政府が処理水の取り扱いについて直接説明する場を設けたのは、本県の浜通りを中心とした15市町村議会などにとどまる。政府主催の関係者の意見を聞く会合でも、トリチウムの性質などに国民的な理解が進んでいないとの指摘があった。
政府の廃炉・汚染水対策現地事務所の木野正登参事官は「貴重な意見として方針決定の参考にする」と述べた。また報告書について、風評対策が不十分との指摘には「具体的かつ効果的な対策が必要不可欠であり、国として責任を持って方針決定までにまとめていきたい」との認識を示した。