女川原発2号機の広域避難計画に実効性がないとして、石巻市民17人が、宮城県と同市に再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求めた仮処分で、仙台地裁が申し立てを却下したのを不服として、住民側は10日、仙台高裁に即時抗告しました。
地裁は、重大事故が起きる危険性について住民側が主張せず、避難計画の実効性が欠如しているという事実のみを挙げているとし「人格権が侵害される具体的な危険性があると解することはできない」と結論付け、また「避難計画の不備だけでは認められない」とも指摘しました。
住民側は、福島第1原発事故の被害を踏まえ、30キロ圏の自治体に計画策定を義務付けた法律などが事故発生の可能性を前提としているとし「大事故の可能性は立法事実(⇒法律制定の趣旨)によって明らかだ」などと主張するということです。
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女川2号機、地元同意の差し止め却下 住民側が仙台高裁に即時抗告
河北新報 2020年07月11日
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、宮城県石巻市)の重大事故を想定した広域避難計画に実効性がないとして、原発の半径30キロ圏内に住む石巻市民17人が、宮城県と同市に再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求めた仮処分で、住民側は10日、申し立てを却下した仙台地裁の決定を不服として、仙台高裁に即時抗告した。
抗告理由に関する書面は後日提出する。住民側は、原発の重大事故の発生の危険性を住民側が主張すべきだとした決定の趣旨に反論。東京電力福島第1原発事故の被害を踏まえ、30キロ圏の自治体に計画策定を義務付けた法律などが事故発生の可能性を前提としているとし「大事故の可能性は立法事実によって、既に明らかだ」などと主張する。
住民代表の原伸雄さん(78)は「高裁は福島の事故の教訓を受け止め、地裁の判断を真っ正面から疑ってほしい」と述べた。
住民側の申し立てを退けた地裁の決定は、住民側が避難計画の実効性が欠如している点のみを挙げているとし「人格権が侵害される具体的な危険性があると解することはできない」と判断。同意と再稼働の直接的な関係性を否定し、計画の実効性に言及しなかった。