2020年7月23日木曜日

再生へ転換点 「飯館村長泥地区」

 飯舘村長泥地区で行われている家屋解体年度内に完了する見通しです。
 長泥地区を巡っては、政府放射線量が年間20ミリシーベルトを下回れば除染をしなくても地元の意向に応じて復興拠点外の避難指示を解除する方針を示し、菅野典雄村長はそれを承認しています。

 菅野村長が整備方針を示した復興公園は長泥地区の曲田集落の村道周辺に造られる見込みで、村は21年度中の完成を目指しています。ただ村長は10月に任期満了とな村長選に出馬しません。
 村長選には新人2人が立候補する予定ですが、両氏とも復興拠点外の方針について住民の話を再度聞いた上で判断していく方針です。村民の男性は、新しい村長には国と協議をしてもらい、解除に向けた方向性を早期に示してほしい」と語っています。
 福島民友が報じました。
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再生へ転換点「飯舘・長泥」 帰還困難区域、年度内に家屋解体
福島民友 2020年07月21日
 帰還困難区域の飯舘村長泥地区で行われている家屋解体が年度内に完了する見通しとなった。環境省によると、特定復興再生拠点区域(復興拠点)内の家屋解体がほぼ終わり、復興拠点外について現地調査している。長泥地区を巡っては、放射線量が年間20ミリシーベルトを下回れば除染をしなくても地元の意向に応じて復興拠点外の避難指示を解除する方針を政府が示すなど、復興・再生への転換点を迎えている。

◆◇◇震災前281人居住
 住民基本台帳に基づく長泥地区の人口は震災前の2011(平成23)年2月末時点で75世帯281人。うち復興拠点外は13世帯33人となっている。環境省によると、復興拠点内の民家や村施設など74軒のうち72軒の解体が終了し、復興拠点外については解体に向けて家屋の場所などを確認しているという。家屋解体で出た汚染廃棄物は村内の蕨平(わらびだいら)地区で稼働する仮設焼却炉で減量化されている。

◇◆◇焦点は村長選へ
 「(復興拠点外で政府の)方針が示されたことは大きな動きだ。避難指示解除に向け国や県などが妥協点を見つけながら協議をしていくことになるだろう」。長泥地区に住まいがあった男性(69)=福島市飯野町在住=はそうつぶやく。
 政府方針は、復興拠点外の避難指示解除について、居住を想定せず復興に向けた土地利用を前提としている。菅野典雄村長(73)が整備方針を示した復興公園は長泥地区の曲田(まがた)集落の村道(曲田線)周辺に造られる見込みで、村は21年度中の完成を目指している。

 ただ菅野村長は10月26日に任期満了となる村長選に出馬しないことを表明。村長選を巡っては20日時点で新人2人が立候補を表明しており、両氏とも復興拠点外の方針について住民の話を再度聞いた上で判断していくという点で一致。帰還困難区域を巡る今後の村政運営が注目される。

◇◇◆道路除染見通し
 村が18年に示した復興拠点計画案では、地区の約1割に当たる186ヘクタールを復興拠点区域とし、住環境や農業環境を整備する計画を盛り込んだ。除染について環境省は「復興拠点の避難指示解除や安全な通行の確保に必要な範囲において実施する」としており、帰還困難区域を南北に貫く国道399号や復興拠点につながる県道と村道も除染される見通しとなった。
 菅野村長の退任表明を受け男性は「(拠点区域外の方針について)村の方針が継続されるのか、変わっていくのかが気になる。新しい村長には国と協議をしてもらい、解除に向けた方向性を早期に示してほしい」と語る。村の行方を左右する震災10年の節目が迫っている。