原子力規制委は10日、北陸電力志賀原発2号機の規制基準適合性審査会合を開き、北電が追加で提出した「鉱物脈法」データに対し、「一部の断層が動いていないという証拠がいくつか出され、大きな進展」と評価しました。
北日本新聞の2つの記事を紹介します。
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原子力規制委が北電のデータ評価 志賀原発断層「動かず」
北日本新聞 2020.07.11
原子力規制委員会は10日、北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の新規制基準適合性審査(安全審査)会合を開き、北電が追加で提出したデータに対し、「(一部の断層が)動いていないという証拠がいくつか出され、大きな進展」と評価した。
会合で審査の対象となった断層は、敷地内の陸域と海岸部にある計9本。北電は「鉱物脈法」と呼ばれる手法を用いて新たに8地点のデータなどを追加し、いずれの断層にも鉱物にずれや変形がなく、「活断層ではない」とあらためて主張した。
規制委側は北電が追加したデータを評価する一方で、断層や鉱物の生成などについての資料の拡充や論理構成の整理、調査などを求めた。
北電は海岸部の断層について、この日の会合で対象となった3本に加え、さらに対象となる断層を追加して今後説明する考えを示した。
敷地内の断層について審査する会合は12回目。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、テレビ会議システムを使用して開いた。
断層「動いていない証拠」 北電志賀原発審査、鉱物脈法で進展
北日本新聞 2020.07.11
10日に開かれた北陸電力志賀原発2号機(石川県志賀町)の新規制基準適合性審査会合で、原子力規制委員会から評価を受けたのは「鉱物脈法」と呼ばれる手法を用いたデータだ。規制委は一部の断層について「動いていない証拠が出された」とし、北電は「大きな進展があった」とのコメントを発表した。
鉱物脈法は、断層の最新面を横断する鉱物の成分を調べて種類を確認し、生成された年代から活動性を調べる手法。他の原発の審査でも用いられている。
北電は東京大の研究室などと共に分子レベルで鉱物の観察や化学組成の分析を行い、学会で発表。今回の会合では、これまで規制委側から求められた場所などで鉱物脈法を用いた新たなデータを示し、活断層ではないことを主張した。
志賀原発敷地内の断層は2016年に有識者調査団がまとめた評価書で「活断層と解釈するのが合理的」などと指摘されていた。そのため、規制委は「ひっくり返すにはそれなりの新しいデータが必要」(石渡明委員)としていた。
だが、これまで北電のデータ不足などを指摘してきた石渡委員がこの日は、北電の追加データについて「大きな進展」と言及。16年の評価書には今後の課題として「鉱物脈法などの検討がまだ必要」と記してあったとし、「(北電が)一生懸命調査をし、記述が生きたという気がする。努力に対して敬意を表したい」と語った。
会合後、原子力規制庁の担当者は「許可に向けてではなく、データが出され議論をする上での『大きな進展』」と話した。規制委から資料拡充の指摘があり、海岸部で審査対象となる断層も追加される見通しだ。今後は規制委による調査なども見込まれるため、再稼働の前提となる審査はまだ時間がかかるとみられる。(浜松聖樹)